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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(244)「皮」 獣の皮を手で引きはがす

2013.5.23 10:29

  山中伸弥(やまなかしんや)京都大教授(きょうじゅ)にiPS 細胞(さいぼう)(人工多能性幹細胞 (じんこうたのうせいかんさいぼう))の開発でノーベル医学生理学賞が決まった際(さい)、海外メディアから「科学に革命(かくめい)をもたらした」と絶賛(ぜっさん)されました。

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 iPS細胞は皮膚(ひふ)や血液(けつえき)などに成長した体細胞に遺伝子を入れ、さまざまな種類の細胞となる能力を持つ細胞のことです。

 さてさて、iPS細胞の紹介(しょうかい)をしたいわけではありません。以上のような説明に出てくる「革命」の「革」、iPS細胞の説明にもある「皮膚」の「皮」という漢字について紹介したいのです。

 「革」も「皮」も動物の体表面をおおう「かわ」を意味する文字ですね。まず「皮」の説明から。

 「皮」の「又(また)」は「手」を意味する字形です。「皮」はその「手」(又)で獣(けもの)の皮を引きはがしている姿(すがた)をそのまま字にした象形文字です。この「皮」は半ば皮を引きはがした文字ですが、「革」は頭から手足までの全体の皮をひらいてなめした形の象形文字です。

 つまり毛や脂肪(しぼう)を取り去り、皮をやわらかく、なめして仕上げた形が「革」です。 生(なま)の皮とはすっかり異(こと)なるものとなるので「革」に「あらためる」の意味があるのです。「革命」という言葉もそこからできました。

 「革」の関連文字はそれほど多くはありませんが、「皮」をふくむ字はかなりあります。その いくつかを 紹介しましょう。

 「皮」にもう一つ「てへん(てへん)」(手)を加えた「披(ひ)」です。これは獣の皮をはがす動作を「披」と言い、意味は「ひらく」となりました。 現代(げんだい)では広く知らせて見せたりする「 披露 (ひろう) 」などに使います。

 「皮」には被(かぶ)る物の意味があります。ですから「皮」に「ころもへん(ころもへん)」(衣)を加えた「被(ひ)」は寝(ね)るときにかける夜具の「ふすま」の意味です。上から覆(おお)い被せるので「おおう、かぶる、こうむる」の意味に使うようになり、「被害」「被告」など受け身の意味にも使うようになりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「皮」は小学3年生で学ぶ漢字です。「革」は小学6年生で学ぶ漢字です。

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