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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(246)「採」 手で草木をとる

2013.6.6 13:33

 白いダイコン、赤いニンジン、緑のピーマン。畑から採取(さいしゅ)された色彩(しきさい)豊(ゆた)かな野菜が食卓(しょくたく)に並(なら)びます。野菜は好きですか?

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 さて「採取」の「採」、「色彩」の「彩」、「野菜」の「菜」の字に「爪(つめ)」の形があるのが分かりますか。この「爪(そう)」は「手」の意味を表す字形です。その紹介(しょうかい)です。

 「爪」は鳥獣(ちょうじゅう)の長い爪をそのままかいた象形文字。「又(また)」「寸(すん)」など「手」を表す字は多いですが、「爪」も指先の意味から「手」を表す字形として使われています。

 「采(さい)」は「爪」と「木」を合わせた文字で木の実などをとることです。「とる、もぎとる」などの意味があります。

 その「采」に「彡(さん)」を加えたのが「彩」です。「采」は草木をとること。「彡」は何かが輝(かがや)いていることなどを表す記号的な字形。それらを合わせた「彩」は衣服の色を染(そ)めるために草木をとって染めた布(ぬの)の「あや、いろどり」の意味です。

 「菜」の「采」も草木をとることで、これは「野菜」のことです。最初は神饌(しんせん)(神様に 供(そな)える酒と食事)として用いられたものでしたが、後に飯に添(そ)える副食のものを言うようになりました。

 また「采」に「テヘン(てへん)」を加えた「採」は「とる」という意味です。もともと「采」が「草木をとる」意味で、「採」の元の字でしたが、「采」が美しい色どりの意味などに用いられるようになって、「采」にさらに「テヘン」(手)を加えて、「とる」を意味する「採」の文字ができたのです。

 「爪」に「竹かんむり」を加えた「笊(そう)」という字は割(わ)った竹で編(あ)んだ「ざる」のことです。指先を開いた形に作るので、この文字があります。

 また「稲(とう)」という文字にも「爪」が ふくまれて いますね。これは 旧字 (きゅうじ) 「稻」が分かりやすいですが、「臼(うす)」の中のものを指先で取り出している形です。取り出す「禾(か)」は「いね」です。そこから「稲」が「いね」の意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「採」は小学5年生で学ぶ漢字です。「菜」は小学4年生で学ぶ漢字です。

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