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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(248)「争」 手で棒状のものを引き合う

2013.6.20 11:13

 いつの世も争い事はたえず、今も沖縄(おきなわ)県・尖閣諸島(せんかくしょとう)をめぐる中国との問題、島根県の竹島をめぐる韓国(かんこく)との問題などがあります。 難(むずか)しい問題ですが、早く 解決(かいけつ)して、静かな世の中になってほしいですね。

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 でも、紹介(しょうかい)したいのは漢字のことです。「静かな世」の「静」の中に「争い事」の「争」と同じ字形がありますね。

 その紹介です。「争」の旧字(きゅうじ)「爭」の上の「爪(つめ)」は指先の意味で「手」のことです。その下は縦(たて)の一本棒に、「彗(すい)」の下部にある形を加えた字形です。「彗」の下部にある字形は「又(また)」で、これも「手」の形。つまり上下の手で、 棒状(ぼうじょう)のものを引き合って相争う形が文字になりました。

 「静」の「争」も棒のように長いものを上下の手で持つ形ですが、これは古い文字を見ると、田畑を耕(たがや)す鋤(すき) を持つ形になっています。「青」は鋤を清めるために加えられた青色の顔料のことです。 耕作(こうさく)を始める前に鋤を持ってお祓(はら)いをしている文字が「静」なのです。

 きれいにする「浄化(じょうか)」の「浄」の「争」も「静」にある鋤を清める意味の「争」の系統(けいとう)です。

 両方の手で引く字としては「応援(おうえん)」の「援」、「愛媛(えひめ)」の「媛」、「緩急(かんきゅう)」の「緩」に共通する「爰(えん)」もその一つです。

 「爰」の上の「爪」と下の「又」は「手」のこと。古い文字にはその間に「○」を書いたものがあるようです。これが「爰」の字だそうです。高貴(こうき)な人の手を引く時に、そのような宝石製(ほうせきせい)の玉器を用いたのです。「爰」の意味は「ひく」です。

 「媛」はその玉器を使って引かれる美しい女性(じょせい)で「ひめ」です。また、あでやかなもので心ひかれるさまのことです。

 「援」はさらに「手ヘン」を加えて、貴人の手を引くことの意味をはっきりさせたものです。意味「ひく、たすける」です。

 「緩」は糸をゆるやかに引くこと。糸の余分(よぶん)なところがたるむので「ゆるやか、たるむ」の意味があります。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「争」は小学4年生で学ぶ漢字です。「静」も小学4年生で学ぶ漢字です。

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