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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(254)「穀」 実をたたいて脱穀する

2013.8.1 12:27

  稲 (いね) 、麦などの 穀類 (こくるい) の 穂 (ほ) から穀物の 粒 (つぶ) を取り離すことを「 脱穀 (だっこく) 」と言います。そして外皮で包まれた稲の実、 籾米 (もみごめ) をついて 玄米 (げんまい) を得たあとに残る 殻 (から) を「 籾殻 (もみがら) 」と言います。

 この「脱穀」「籾殻」の「穀」や「殻」にも「 殳 (しゅ) 」がついていますね。「殳」はつえぐらいの長さの 戈 (ほこ) のことで、それを使って、何かをたたく 行為 (こうい) を表す文字が、漢字にはたくさんあります。

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 「穀」「殻」の場合の「殳」は 実際 (じっさい) に穀物をたたくことを意味しています。「穀」は穀物の実をたたき脱穀する意味。脱穀して中が 空 (から) になり、くずのようなものが中に残っているのが「殻」です。その「から」に「 禾 (か) 」(いね、穀類)が入っているのが「穀」です。

 穀類を脱穀する際には、 袋 (ふくろ) に穀物を入れてたたきました。その様子が文字に表されているのが「 撃 (げき) 」です。「撃」の旧字「ゲキ 」の上部の左側は上をくくった袋の形です。その中に穀物を入れて、「殳」(つえ戈)でたたくのです。袋の中の物をたたくので、「撃」が「たたく、うつ」の意味になりました。「攻撃」「反撃」がその用法です。

 もともとは「撃」の上部左側が袋で、右側の「殳」がつえ戈ですから、それらを合わせて袋の中の穀物をうつ意味でしたが、さらに「手」を加えて、「うつ」行為をより 明確 (めいかく) に 示 (しめ) したのです。

 そして「撃」は袋をうつという行為だけでなく、すべての「うつ」の意味から「 討 (う) つ、 攻 (せ) める、たたかう」の意味にも使うようになりました。

 「ケイ(けい) 」という文字の上部も「撃」の旧字「ゲキ 」と同じです。つまり袋を 撃 (う) つ形ですが、この袋は上部をくくった袋ですので、その袋を 紐 (ひも) で何かにかけたりしました。それを「ケイ 」といい、そこから「 繋 (つな) ぎとめる」ことも「ケイ 」と言います。

 「ケイ 」は「つなぐ、かける」の意味があります。 ケイ累 (けいるい) (係累とも書きます)はケイ ぎとめるものの意味から面倒を見なくてはならない家族の意味にもなりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「穀」は小学6年生で学ぶ漢字です。

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