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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(257)「統」 多くの糸が集まるところ

2013.8.22 13:36

 メタボリック症候群(しょうこうぐん)は内臓(ないぞう)周辺に脂肪(しぼう)がたまって肥満(ひまん)になることです。肥満の人、または肥満になりそうな人の生活を改善(かいぜん)して、病気を減(へ)らす目的で「メタボ検診(けんしん)」も行われています。

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 このメタボの人の姿(すがた)をそのまま字にしたのが「充(じゅう)」です。特に腹部(ふくぶ)が肥満した姿をかいた象形文字のようです。肥(こ)えている人は体力・気力が満ちあふれているので「充満」(満ち足りること)の意味となりました。

 「短銃(たんじゅう)」の「銃」は「金」と「充」を合わせた文字です。「充」は腹(はら)が肥満した人の意味。そこから丸い穴(あな)のあるものを示(しめ)す文字として使われるようになりました。

 その「銃」が最初から短銃や猟銃(りょうじゅう)の「銃」を意味していたわけではありません。漢字が誕生(たんじょう)したのは、3千年以上も前のことなので、その時代に今の「銃」があったわけではないのです。

 「銃」は、最初は「斧(おの)」の柄(え)をさし込(こ)む穴の意味でした。のちに「銃」が発明されて、その意味に使われだしました。銃口がその丸い穴に似(に)ていたからのようです。

 まとめて取り扱(あつか)い、治めることを「統括(とうかつ)」と言います。「統括」の「統」の「充」も腹部が肥満した人のことです。それに「糸」を加えた「統」は「多くの糸が集まるところ」という意味です。

そこから「まとめる」の意味となりました。

 全体をまとめる「統括」とよく似た「総括(そうかつ)」という言葉があります。「統」と「総」は音も意味も似ていて、「糸」をまとめることをいいます。

 「総」は糸の末端(まったん)を結んで房(ふさ)のようにすることで、「ふさ」の意味があります。さらに「まとめる、あつめる」意味もあります。

 また「総」は束ねた髪(かみ)のことでもあります。古代の少年の髪形で、髪を中央から二つに分け、左右の耳の上に輪の形に束ねるものを「総角(あげまき)」というのも、束ねた髪の意味からです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「統」は小学5年生で学ぶ漢字です。「総」も小学5年生で学ぶ漢字です。

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