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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(260)「頂」 頭頂部の平らなさま

2013.9.12 14:29

 日曜大工をしますか? トンカチを持って「釘(くぎ)」を板に打ちこみ、何かを作っていくことは楽しいですね。その「釘」の元の形が「丁」という文字です。「丁」の字をじっと見ていると確(たし)かに「釘」を何かに打ちこんだような形に見えますね。

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 でも「丁」の古代文字を見ると、打ちこんだ後の「釘」の平面形です。ですから「丁」の字形をふくむ字には「楕円(だえん)形で平らなもの」という意味があります。「釘」は楕円形で扁平(へんぺい)な金属製(きんぞくせい)のものという意味から、現代(げんだい)で言う金属製の「くぎ」の意味となりました。

 この「丁」をふくむ字は日常(にちじょう)で使う漢字の中でもかなりあります。山の頂上(ちょうじょう)の「頂」も「丁」をふくんだ文字ですね。「頂」の「頁(けつ)」は頭に儀式(ぎしき)用の帽子(ぼうし)をつけて拝(おが)んでいる人の姿(すがた)。それで身体の最上部を「頂」といい、頭頂(とうちょう)部の平らなさまを「頂」というようになりました。山頂は山のてっぺんの平らなことです。

 宝塚歌劇団(たからづかかげきだん)出身の女優(じょゆう)「汀夏子(みぎわなつこ)」さんの「汀」にも「丁」があります。この「丁」も「平ら」の意味です。「汀」は平らな形をした「渚(なぎさ)」や「洲(す)」などのことで「みぎわ、なぎさ」のことです。

 まだまだ「丁」をふくむ漢字はあって、間違(まちが)いを正す「訂正(ていせい)」の「訂」も、その一つです。

 1900年ほど前の中国の字書「説文解字(せつもんかいじ)」にも「平議するなり」とあって、議論(ぎろん)して定めることが「訂」です。この「丁」も釘の頭のことで、釘の頭をたたいて安定させることから誤(あやま)りを正すことになりました。

 酔(よ)っぱらった人のことを「酩酊(めいてい)した人」と言います。その「酩酊」の「酊」にも「丁」があります。甚(はなは)だしく酔った人には、しっかり立っていなくて、平らになったイメージがありますね。

 最後は「町」です。「田」と「丁」を合わせた文字。これは田んぼのあぜ道のことで、田と土地の区画の意味です。日本では町村の意味で「丁」を使います。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「頂」は小学6年生で学ぶ漢字です。「丁」は小学3年生で学ぶ漢字、「町」は小学1年生で学ぶ漢字です。

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