メニュー 閉じる メニュー
文化

文化

なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(261)「垂」 草木の花や葉が垂れ下がる

2013.9.19 12:25

 睡眠(すいみん)不足で眠(ねむ)くなるとまぶたが垂(た)れてきますね。この「睡眠」の「睡」に「まぶたが垂れる」という「垂(すい)」の文字が入っています。これは「目」と「垂」を合わせた字ですから、「目」のふたが垂れることで、「睡」が「ねむる」「いねむり」の意味であることは簡単(かんたん)に 分かるかと思います。

261sui.JPG

 「郵便(ゆうびん)」の「郵」にも「垂」が入っています。では、この「垂」と「郵」の関係はどうでしょう。簡単には「垂」と「郵」の二つの文字のつながりが分かりませんね。その関係の紹介(しょうかい)です。

 まず「垂」は古代文字を見てほしいのですが、これは草木の花や葉が垂れ下がる形です。古代文字を見ると分かりやすいのですが、「垂」の字形の下部は「土」の文字です。つまり花や葉が垂れて「土」に達する状態(じょうたい)を文字にしたものです。そこから「たれる」意味があります。

 「睡」は紹介したようにまぶたが垂れることです。そこから「ねむる」意味となりました。この睡(ねむ)る姿(すがた)は平和で美しいものとされたようです。

 水上に静かに浮(う)かぶかもめ(かもめ)を睡かもめ(すいおう)、水面で花弁(かべん)を閉(と)じたり開いたりする蓮(はす)を睡蓮(すいれん)といいます。

 「錘(すい)」は秤(はかり)の重りとして用いる「おもり」の意味です。また 糸をつむぐ機械の部品で、管に差しこんで回転させ、糸を巻(ま)くと同時に糸によりをかけるための鉄製(てつせい)の細い棒(ぼう)を「紡錘(ぼうすい)」といいます。

 さて「郵便」の「郵」についてです。「郵」の「コザト(おおざと)」は「邑(ゆう)」で「むら」のことです。「垂」には花や葉が垂れさがることから、末端(まったん)の所の意味があり、辺境(へんきょう)の意味もあります。「郵」はその辺境の意味の文字です。辺境に文書を送るための宿場のことです。

 辺境への通路に駅舎(えきしゃ)(宿場の建物)を置くことを「置郵(ちゆう)」といい、その駅舎で旅券(りょけん)などを確認(かくにん)しました。今は手紙などを伝達する制度(せいど)である「郵便」などの言葉に使っています。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「垂」は小学6年生で学ぶ漢字です。「郵」も小学6年生で学ぶ漢字です。

最新記事