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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(262)「橋」 神招く目印の木を立てる

2013.9.26 12:57

 「高橋」という名字(みょうじ)は日本にかなり多いものですが、よく見るとこの「高」と「橋」は少し似(に)ていますね。さらに「喬(たかし)」という名前の人もいます。これも「たかい」という読みなので、「高」と似ています。それらの関係についての紹介(しょうかい)です。

262hashi.JPG

 まず「高」は「京」の省略(しょうりゃく)形と「口」を合わせた形です。「京」はアーチ形の出入り口のある都の城門(じょうもん)の形。「口」(サイ)は顔の「くち」のことではなくて、神様への祈(いの)りの言葉である祝詞(のりと)を入れる器です。

 つまり「高」は門の上に望楼(ぼうろう)(物見やぐら)がある大きな城門で、それに祝詞を供(そな)え、悪い霊(れい)が入りこまないように、お祓(はら)いすることを表した文字です。望楼がある大きな城門なので「たかい」の意味となりました。

 さて「喬(きょう)」は、その「高」と「夭(よう)」を合わせた形です。アーチ状の門を示す「高」の上に呪(まじな)いとしての木を立てたものが「喬」です。祇園(ぎおん)祭の山鉾(やまぼこ)の鉾(ほこ)を立てるような姿(すがた)をした建物を考えてください。その目印の木に神を迎(むか)え、邪悪(じゃあく)なものの出入りを防(ふせ)ぐ楼門の形です。

 古代中国では「橋」の両端(りょうたん)に神を招(まね)く目印の木を立てたようです。そこから「橋」が高くかけた橋の「たかはし」や「はし」の意味となりました。

 「喬」には鉾を立てるような高い目印の木のことがふくまれているので、高く、曲がり、しなうなどの意味があります。

 「愛嬌(あいきょう)」の「嬌」は女性(じょせい)の姿の美しいことですが、この「喬」は「しなう」意味ですね。

 おごりたかぶる「驕慢(きょうまん)」の「驕」は神の威力(いりょく)を使って「たかぶること」です。元は「荒馬(あらうま)」のことだったようです。これは「高い」意味ですかね。

 正し直す「矯正(きょうせい)」の「矯」には「曲げる」意味があります。でもこれは高く、驕(おご)っていて「事実を偽(いつわ)りまげること」の意味です。曲がっているものを真っすぐに、また真っすぐなものを曲げて形を整える意味での「矯」の意味は後の用法のようです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「橋」は小学3年生で学ぶ漢字です。

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