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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(264)「鋼」 鍛えて剛い性質の鉄

2013.10.10 10:06

 社会で使われる漢字の目安である「常用(じょうよう)漢字表」が2010年に改定された際(さい)に、「岡(おか)」という文字が新しく常用漢字表に加わりました。

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 「静岡」「岡山」「福岡」の各県の名前の中に「岡」の文字がふくまれていますが、それまでは「岡」は常用漢字ではありませんでした。

 その理由は固有名詞(めいし)のみに使われる漢字は原則(げんそく)入れないというものです。でも3県もの名にある「岡」は小学生でも読める字でした。あまりに現実(げんじつ)に合っていないため、それまで常用漢字になかった「岡」や「茨(いばら)」「熊(くま)」など都道府県名の11字が追加されたのです。

 そこで「岡」の文字の成り立ちと「岡」をふくむ文字について紹介(しょうかい)したいと思います。

 この「岡(こう)」は鋳物(いもの)を作るとき、その鋳型に火を加えている形です。現代の文字、例に挙げた古代文字で「山」に見える部分は「火」の字形です。

 上の部分は「网(もう)」の字形で、これは鋳型を表しています。高熱で鋳型を 焼きかためることから、「岡」には「堅(かた)く強い」意味があります。

 「岡」は赤土色の「丘(おか)」のことですが、その赤土色は焼きかためられた鋳型の土と同じ色です。

 鋳型を土で作って、下から火を加えて、 焼きかためて、堅くなった鋳型を刀(リットウ(りっとう))で裂(さ)く形が「剛(ごう)」です。でもその鋳型は堅くて容易(ようい)に裂きがたいので、「剛」は「つよい」「かたい」の意味となりました。

 その強い意味を人の性質(せいしつ)や心情(しんじょう)に移(うつ)して、剛毅(ごうき)(意志(いし)が強く気力があり何事にも屈(くっ)しないこと)などの言葉に使います。

 さらに、鍛(きた)えて剛(かた)い性質の鉄を「鋼(こう)」と言う、と白川静さんは説明しています。「鋼」は「はがね」の意味に用います。

 「岡」は堅く強い意味ですが、そこから紐(ひも)をより合わせ、頑丈(がんじょう)で切れないものを「綱(こう)」と言います。「綱」は「つな、まとめる」の意味となり、さらに基本(きほん)となる、おおもとである「大綱」の意味に使います。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「鋼」は小学6年生で学ぶ漢字です。

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