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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(265)「条」 みそぎに使う枝や葉の束

2013.10.17 11:09

 「修行(しゅぎょう)」と「修業」の違(ちが)い分かります? お坊(ぼう)さんの場合は「修行」。学術(がくじゅつ)、技芸(ぎげい)などを身につける場合、例えば板前さんなどは「修業」です。

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 でも辞書を引くと「修行」にも「学問、芸術などを身につけるように努力し学ぶこと」ともあります。難(むずか)しいですね。その「修(しゅう)」の文字について紹介したいと思います。

 「修」は「攸(ゆう)」と「彡(さん)」を合わせた形。「攸」は人の背中(せなか)に水をかけて洗(あら)う形でみそぎをする姿(すがた)です。みそぎで清められたことがきわだっているのを示(しめ)す記号的な字が「彡」です。そこから「修」が「きよめる、おさめる」の意味となりました。

 みそぎで、身心が清められ、「心」が安らぐことを「悠(ゆう)」といいます。「攸」と「心」を合わせて、心が「ゆるやか、のどやか」の意味です。

 他にも「攸」の関係字はあって、憲法(けんぽう) 何条(なんじょう)の「条」もその一つ。でもこれは旧字(きゅうじ)「條」でないと関係が分かりません。その「條」の「攸」は人の背後(はいご)に水をかけてあらい、身を清めるみそぎのこと。「木」はそのときに使用する木の枝(えだ)や葉を束ねたものです。長い枝のことから「えだ、すじ」の意味となりました。

 この「條」に「サンズイ(さんずい)」を加えた「滌(じょう)」は「條」の木や草の束で、水をかけて身を滌(あら)う「洗滌(せんじょう)」の「滌」です。

 もう一つ紹介しましょう。昔、三原脩(みはらおさむ)というプロ野球の知将(ちしょう)として知られた名監督(めいかんとく)がいました。

 西鉄ライオンズの監督として1956年から3年間、日本シリーズで巨人軍(きょじんぐん)を相手に3連覇(れんぱ)。特に58年は、3連敗の後に4連勝して優勝(ゆうしょう)。60年に大洋ホエールズを前年最下位から1年目で日本一に導(みちび)き、「三原マジック」と呼(よ)ばれました。

 その名前の「脩」は「攸」に「月」(肉づき)を合わせたもの。儀礼(ぎれい)の贈答(ぞうとう)に贈(おく)られる干(ほ)し肉のことです。その干し肉は「條」のように細く束ねて切ったものでした。その「脩」が「修」と通じて「おさむ」の意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「条」は小学5年生で学ぶ漢字です。「修」も小学5年生で学ぶ漢字です。

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