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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(266)「構」 木を組み合わせる

2013.10.24 10:02

 学校で絵を描(か)く際(さい)には「構図(こうず)をよく考えなさい」と言われました。偉(えら)い先生の「講義(こうぎ)」も学校でありましたし、文房具(ぶんぼうぐ)などを買える「購買(こうばい)」もありました。

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 この「構図」の「構」と、「講義」の「講」と、「購買」の「購」の3文字を覚えるのは結構難(むずか)しいことでした。みなさんは、その区別に悩(なや)んだことはありませんか。

 この3字のつながりを説明する基本(きほん)は各字の右にある「冓(こう)」です。「冓」は同じ形の飾(かざ)りひもを上下つなぎ合わす形で、意味は「くむ、くみあわす」です。飾りひもをつなぎ合わせることは結婚(けっこん)を象徴(しょうちょう)的に表すことでした。

 その結婚のことを表しているのが「媾(こう)」という字です。交戦国が互(たが)いに取り決めをして戦争をやめ、平和な状態(じょうたい)にもどることを「講和」と言います。この「講和」は「媾和」とも書きました。古代では戦う両者が「媾和」のために結婚をすることがあったのでしょう。

 「構」はひもではなく、「木」を組み合わせることです。そこから「構」はすべてのものを構成する意味となりました。「構図」とは絵や写真などの画面構成のことです。

 「木」ではなく「言葉」を組み立てて解(と)きあかすことを「講」と言います。「冓」「媾」はひもを組み合わせて両者の結合で和解(わかい)をはかることですが、問題を考え、学術(がくじゅつ)を究明することが「講」で、その意味は「とく、はかる、おしえる」です。

 「購」の「貝」は貨幣(かへい)の代わりの貴重(きちょう)な「子安貝」のこと。両者を結びつけるのに、財物(ざいぶつ)を用いたのです。財をもって和解するのが「購」で、意味は「あがなう」です。

 「溝(みぞ)」の「冓」も結ぶことです。二つの水路がつながるように水路を掘(ほ)ることを「溝(こう)」と言い、人工的に掘った「みぞ」の意味となりました。

 最後は「篝火(かがりび)」の「篝(こう)」の紹介(しょうかい)です。この「冓」も組みあげたものの意味で、「篝」は竹製(たけせい)の籠(かご)の意味です。後に篝火用の籠を意味するようになりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「構」は小学5年生で学ぶ漢字です。「講」も小学5年生で学ぶ漢字です。

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