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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(269)「支」 小枝を手に持つ

2013.11.14 11:04

 「岐阜(ぎふ) 支店(してん)から、技術(ぎじゅつ)を買われて、本社に異動(いどう)した」という会社員もいるかと思います。この「岐阜」の「岐」と「技術」の「技」に「支店」の「支」がふくまれていますね。その紹介(しょうかい)です。

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 この「支」は「十」と「又(また)」を合わせた形です。「十」は木の小枝(こえだ)。「又」は手の形です。つまり「支」は小枝を手に持つ形で、「枝」の元の字です。幹(みき)から枝分かれしたものを言うので「えだ」の他に「わかれる、わける」の意味も出てきました。その「わける」意味などにも「支」が使われるようになり、「支」に「木」を加えて「枝」の文字ができました。

 「岐」の「支」も「わかれる」の意味。これは文字の通り「山のわかれ道」のことで、意味は「わかれる、わかれみち」です。「多岐(たき)」は多方面という意味。「分岐」は「わかれること」です。

 さらに「支」に体を表す「月」(肉づき)を加えた「肢」は「てあし」のこと。人の手足を「四肢」と言い、昆虫(こんちゅう)などの羽を「翅(し)」と言います。

 「歌舞伎(かぶき)」の「伎」も体に関係した「支」をふくむ字です。「伎」は歌舞するときに体を傾(かたむ)けている姿勢(しせい)のことです。日本語の「かぶく」は漢字では「傾く」と書き、「かたむける」ことです。

 「かぶく」は体が「かたむく」の他に「人の目につく衣装(いしょう)を身につける」意味にも使います。「歌舞伎」は「かぶく」の連用形の名詞化(めいしか)です。

 「舞妓(まいこ)」の「妓」は「身を傾けて舞(ま)う者」のことで、「うたひめ」の意味となりました。

 最後に「技」ですが、これも人の手足や体に関係した意味の「支」です。「技」は「演技(えんぎ)」の「技」としても使いますが、このように体を傾けて、手を「たくみ」に動かして演技することを「わざ」と言います。

 「技芸」「技術」は手足を巧(たく)みに動かして、物を作ったり、加工したりするわざのことです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「支」は小学5年生で学ぶ漢字です。「枝」も「技」も小学5年生で学ぶ漢字です。

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