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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(271)「風」  神聖な鳥や竜が起こす

2013.11.25 14:21

 宮崎駿 (みやざきはやお) 監督 (かんとく) の新作アニメ「風立ちぬ」が話題です。「風の谷のナウシカ」という作品もあるので、宮崎監督は「風」が好きなのかもしれません。

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  さて、この「風」の文字の中に、なぜ「虫」がいるのか。そんなことを考えたことがありますか。その 紹介 (しょうかい) です。

  現在 (げんざい) の「風」は「 凡 (はん) 」と「虫」を合わせた文字ですが、「風」の古代文字を見ると、「虫」ではなくて「鳥」の形です。現在の字形で言えば「 鳳凰 (ほうおう) 」の「鳳」という文字に相当します。

 古代中国人は「風」は「鳥」の 飛翔 (ひしょう) で起きると考えていました。 神聖 (しんせい) な鳥の印として 冠飾 (かんむりかざ) りがついています。でも次第に天上には「 竜 (りゅう) 」が住むと思うようになり、「竜」が風を起こすと考えるようになりました。そんなわけで「鳥」が「虫」に 変更 (へんこう) されたのです。

 この「虫」は「むし」の意味ではなく、「竜」をふくめた 爬虫類 (はちゅうるい) のことです。「むし」の意味の字は「 蟲 (ちゅう) 」と書きましたが、今は「虫」を「むし」の意味に使っています。

 古代中国では「風」は神聖な「鳥」や「竜」が起こす「風神」でした。「風神」は各地に飛んでいき、いろいろなことを教えました。「風教」とは「人を 善 (よ) き方向へ教え 導 (みちび) く」意味の言葉です。

 そこからできた文字が「 諷 (ふう) 」です。意味は「ほのめかす、おしえる」です。「そらんじる」の意味もあります。

 現在の「風」は「虫」に「凡」を加えた形ですが、例に挙げた「風」の古代文字もよく見ると、「鳥」のくちばしの前に「凡」の形があります。

 「風」の字の音を表す 符号 (ふごう) として「凡」が加えられているのですが、この「凡」は物をのせる皿である「 盤 (ばん) 」の形です。

 この「凡」に、 舟 (ふね) を走らせるために「風」を受ける 布 (ぬの) の「 巾 (きん) 」をつけた字が「 帆 (はん) 」です。「ほかけ 舟 (ぶね) 、ほ」の意味です。

 さらに「 汎 (はん) 」は「風を受けてはやく流れる」ことの文字で、その意味は「うく、ただよう、ひろい」です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの「風」は小学校2年で学ぶ漢字です。

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