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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(272)「気」  すべての活動力の源泉

2013.12.5 16:30

 昔、あまりに日照り続きの天気ですと、 踊 (おど) ったり、たき火などをして 雨乞 (あまご) いの 祈 (いの) りをしました。

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 その「天気」の「気」という文字の「 气 (き) 」の部分と「雨乞い」の「 乞 (きつ) 」という文字、どこか似ていませんか。実はこの「气」と「乞」はもともと、同じ文字だったそうです。その 紹介 (しょうかい) です。

 この「気」の 旧字 (きゅうじ) 「氣」は「气」と「米」を合わせた形です。「气」は雲の流れる形で、雲気( 雲状 (くもじょう) のもの)を表しています。「气」は生命の 源 (みなもと) と考えられていて、「米」( 穀類 (こくるい) の意味)は、その「气」を養う 素 (もと) として加えられました。

 「气」「米」を合わせた「気」(氣)はすべての活動力の 源泉 (げんせん) で、日ごろ使う言葉にも、その意味が 反映 (はんえい) しているものがあります。例えば、活動の源となる気力のことが「元気」です。そして、人は「気息」( 呼吸 (こきゅう) )することで生きています。

 「气」をふくむ字で一番なじみ深いものは「汽」でしょう。雲気である「气」は多くの水分をふくんでいます。その「气」に「 sanzui.gif (さんずい) 」を加えた「汽」は水が気化する 状態 (じょうたい) で「ゆげ」の意味。 蒸気 (じょうき) の力で動く車・船を「汽車」「汽船」と言います。

  敵 (てき) に対しいきどおる気持ちを「 敵愾心 (てきがいしん) 」と言います。その「愾」は「気(氣)」を心の状態化にした字で「なげく、気がたかぶる」の意味です。

 最初に紹介したように「乞」の古代文字は「气」と同じ形です。後に「气」と「乞」が分かれて使われるようになり、「气」は雲気の意味に、「乞」は「こう、もとめる」の意味の文字となりました。昔は「雲気」を見て、 占 (うらな) い祈ったのです。

 日本では「まで」の意味で使う漢字「 迄 (きつ) 」にも「乞」の字形があります。この「乞」の文字は占いの 際 (さい) に「もとめる」のほかに、「およぶ」の意味があります。「迄」は、この「およぶ」の意味の 延長 (えんちょう) で「いたる」の意味を 示 (しめ) している文字です。「まで」の意味は日本でだけの意味のようです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「気」は小学1年生で学ぶ漢字です。「汽」は小学2年生で学ぶ漢字です。

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