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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(273)「赤」 火でけがれを清める

2013.12.12 11:50

 新聞を読んでいたら、米大リーグで活躍している日本人投手が、味方が同点に追い付いた直後の八回から登板し、2点 本塁打 (ほんるいだ) で勝ちこしをゆるしてしまい「地元ファンから 容赦 (ようしゃ) ないブーイングを浴びた」とありました。

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 また民主化を進めているミャンマーでは、 政治 (せいじ) 的な理由などで 犯罪 (はんざい) 者として 刑 (けい) を受けていた人たちが、政府の 恩赦 (おんしゃ) で 釈放 (しゃくほう) されるとのことです。

 この「容赦ないブーイング」や「恩赦で釈放される」の「赦」に、なぜ「赤」がふくまれているかについての紹介です。

 その前に「赤」について説明しましょう。「赤」は「大」と「火」を合わせた文字です。「大」は手足を広げて立つ人を正面から見た形です。これに「火」を加えた「赤」は「火」でけがれを 祓 (はら) い清める 儀式 (ぎしき) なのです。

 祓い清められるので、何もないことやあるがままの意味があります。赤心は「いつわりのない心」。 赤貧 (せきひん) とは「持ち物が何もないほど 貧 (まず) しい」ことです。火なので「あか」の意味に使われます。

 その「赤」に「 攵 (ぼく) 」を加えた字が「赦」です。「攵」の元の形は「攴」。その「ト」は木の 枝 (えだ) のこと。「 又 (また) 」は手のことです。人に「火」を加えて祓い清め、木の枝で打って、その人の 罪 (つみ) を祓い、罪をゆるすのです。そこから「赦」が「 赦 (ゆる) す」の意味になりました。「容赦」は赦すこと。「恩赦」は国家的なほどこしとして 刑罰 (けいばつ) を 減 (へ) らしたり、なくすことです。

 「 赫 (かく) 」は「赤」を二つ合わせた文字。 聖 (せい) なる「火」をたくさん浴びて身を清めた人のことで、人の 姿 (すがた) や 徳 (とく) の 立派 (りっぱ) なことをほめる語として使われます。「赤い」のほかに「 盛 (さか) ん」「立派」の意味があります。小説家・ 野坂昭如 (のさかあきゆき) さんの「 赫奕 (かくやく) たる 逆光 (ぎゃっこう) ― 私説 (しせつ) ・三島由紀夫」という本がありますが、その「赫奕」とは「光り 輝 (かがや) くさま」のことです。

  脅 (おど) かすことを「 威嚇 (いかく) 」と言います。「 嚇怒 (かくど) 」「 赫怒 (かくど) 」という同意味の言葉があって、真っ赤になり 怒 (おこ) ることです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「赤」は小学1年生で学ぶ漢字です。「大」も小学1年生で学ぶ漢字です。

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