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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(274)「変」 神への誓いを破り改変

2013.12.19 11:54

 五木寛之 (いつきひろゆき) さんがベストセラー小説「 親鸞 (しんらん) 」の「完結 篇 (へん) 」を 執筆 (しっぴつ) 中です。親鸞は公式的に 妻 (つま) を持った 僧 (そう) として知られますが、これは当時大変なことだったようです。どんな 恋 (こい) だったのでしょうか。

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 さて「親鸞」の「鸞」と「大変」の「変」、さらに「恋」は 相互 (そうご) に関連をもった漢字です。それは「変」の 旧字 (きゅうじ) 「變」、「恋」の旧字「戀」を見てみれば分かります。

 その関係の 紹介 (しょうかい) を各字に共通する「ran.gif (らん) 」から始めたいと思います。「ran.gif 」の「言」は神への 誓 (ちか) いの言葉を入れた器。左右の「糸」は 呪 (まじな) いのための「糸 飾 (かざ) り」です。これらで神を楽しませているのが「ran.gif 」です。そして「ran.gif 」をふくむ字に「 豊 (ゆた) か」や「 緩 (ゆる) やかに曲がる」の意味があります。

 その「ran.gif 」の下に「鳥」を加えた「鸞」は「豊か」の意味の 系統 (けいとう) の文字で、太平の世に 現 (あらわ) れるめでたい鳥のことです。

 足や胃などがひきつるのが「 痙攣 (けいれん) 」ですが、この「攣」は「緩く曲がる」ほうの「ran.gif 」で、その意味も「まがる」です。そこから「ひきつる」という意味になりました。

 また「攣」はもともと「戀」(恋)と同じ意味を持っていて「 恋 (こ) い 慕 (した) う」意味もあります。

 「戀」(恋)も「緩く曲がる心」の意味で「恋い慕う」ことです。「ran.gif 」に「手」を加えた「攣」がその動作を、「戀」が 心情 (しんじょう) を表す字です。

 「 湾 (わん) 」(灣=旧字)の「ran.gif 」も緩く曲がる意味です。弓なりに緩く曲がる「 彎曲 (わんきょく) 」の「彎」から 発展 (はってん) して、後にできた字のようで、「湾」には古代文字形がありません。「湾」は弓なりに曲がった入り海のことです。

 そして「變」(変)は「ran.gif 」に「 攵 (ぼく) 」を加えた形です。「攵」の元の字「攴」の「ト」は木の 枝 (えだ) 、「 又 (また) 」は手の形です。

 つまり木の枝を手で持ち、神への誓いの言葉を入れた「ran.gif 」を打って、神への誓いを 破 (やぶ) り、改変する文字が「變」(変)なのです。そこから「かえる」「かわる」意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「変」は小学4年生で学ぶ漢字です。

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