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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(278)「指」 うまい食物を指さす 

2014.1.23 12:36
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 「食指が動く」の食指とは人さし指のことです。昔、中国・ 鄭 (てい) の国の子公という人が、自分の人さし指がピクリと動いたのを見て「今までこういうことがあると、必ず 珍味 (ちんみ) にありつけた」と言った 故事 (こじ) から「 食欲 (しょくよく) がきざす。広く物事を求める心がおこる」ことを意味します。つまり人さし指と食欲の関係は強いのです。

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 「指」は「 旨 (し) 」に「 tehen.gif(てへん) 」を加えた文字ですが、まず「旨」の説明から。「旨」は古代文字を見ると「氏」と「 曰 (えつ) 」を合わせた字です。「氏」は何度か説明していますが、同じ 先祖 (せんぞ) を持つ氏族たちが集まって食事をする時、祭りに 供 (そな) えた肉を、氏族の長が切り分けるナイフの形です。

 そしてこの場合の「曰」は、肉などを入れた器です。その器の中の物を小刀で切ることを「旨」と言います。切って食べて味がよいので「うまい」意味となり、さらに食べ物の味のことから、物事の味わい、「おもむき、むね」の意味にも用いるようになりました。

 その「旨」に「 tehen.gif(てへん) 」を加えた字が「指」です。「旨」は食物の味がうまいこと。「指」はその食物を指さす意味の字のようです。白川静さんはそう考えていました。

 他にも食物の味がうまい意味での「旨」をふくむ字があります。まず「 脂肪 (しぼう) 」の「脂」です。「旨」は 旨 (うま) い肉のこと。それと「月」(肉づき)を合わせて、おいしい肉であることを 示 (しめ) しています。おいしい肉は「 脂 (あぶら) 」ののったものなので「あぶら」の意味となりました。

 もう一つ、 紹介 (しょうかい) しましょう。それは 嗜好 (しこう) 品の「嗜」です。右側の「 耆 (し) 」は「老」と「旨」を合わせた形です。つまり「老いて旨しとするもの」のことです。それに「口」をそえて「嗜好」(たしなみ好むこと)の意味としたようです。元は飲食関係の言葉です。白川静さんが「口」の字形を神様への 祈 (いの) りの言葉を入れる器「口」(サイ)で説明せず、「くち」の意味で説明している 珍 (めずら) しい字でもあります。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「指」は小学3年生で学ぶ漢字です。

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