メニュー 閉じる

47News

文化

文化

なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(281)「験」 馬を使い神意をためす 

2014.2.13 11:56
Share on Google+ このエントリーをはてなブックマークに追加

 「検定(けんてい)試験」が日本人は大好きなようで、たいへんな数の「検定試験」があります。「英検」「漢検」と呼(よ)ばれる「検定試験」も有名ですね。その「検定試験」の「検」と「験」の右に同じ字形があります。そのことを紹介(しょうかい)したいと思います。

281kenn.JPG

 「検」「験」の旧字(きゅうじ)「檢」「驗」の右側にある「僉(せん)」を見てください。二つの「口」は神様への祈(いの)りの言葉である祝詞(のりと)を入れる器「口」(サイ)のことです。その下に「人」の形が二つありますね。これは「兄」の字が二つ並んでいる形です。

 「兄」は「口」(サイ)を捧(ささ)げて祈る人。家の祭りは「兄」の役目でした。「兄」が2人並んで祈るので「ともに、みな」の意味があります。

 そして並んだ「兄」の上にある「しゅう(しゅう)」の字形は神事に従事(じゅうじ)する者が用いる帽子(ぼうし)の形です。それらを合わせた「僉」は神に祈る心なので「質素(しっそ)」の意味や、祈ることで神意を「ためし調べる」意味もあります。

 「検」(檢)の「僉」は「しらべる」の意味です。「検問」は 問いただして調べること。「検索(けんさく)」は調べさがすことです。

 「剣(けん)」は「つるぎ」のことですが、この「僉」は「ともに」の意味。片方(かたほう)に「刃(は)」があるのが「刀」です。「剣」は左右に「刃」があります。

 「瞼(まぶた)」の「僉」も「ともに」の意味でしょうか。「瞼」は「目の上下のふた」のことですから。

 また「倹約(けんやく)」の「倹」(儉)の「僉」は「つつしみ深い」の意味です。

 「冒険(ぼうけん)」の「険」(險)の「コザト) (こざとへん)」は神が天地を昇降(しょうこう)する階段(かいだん)(または梯子(はしご))です。「僉」は神に祈ること。そして神が天から降(お)りてくる場所は険(けわ)しい地形だったようです。「険」は「けわしい、あやうい」の意味です。

 最後は「試験」の「験」(驗)です。これはもちろん「ためす」意味の「僉」。馬は霊気(れいき)を感じやすい動物で、馬を使い神意をためす儀式(ぎしき)があったようです。そこから「験」が「ためす」意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「験」は小学4年生で学ぶ漢字です。「検」と「険」は小学5年生で学ぶ漢字です。

最新記事

関連記事一覧