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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(284)「容」 廟にかすかに現れた神の姿 

2014.3.6 10:25
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 容姿(ようし) 容貌(ようぼう)を気にして美容整形の手術(しゅじゅつ)を受ける人もいます。もちろん女性(じょせい)もいますし、男性でもイメージを大切にする俳優(はいゆう)や政治家(せいじか)が整形手術を受ける場合もあるようです。

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 その「美容」の「容」の紹介(しょうかい)です。「容」は「宀(べん)」と「谷」を合わせた字です。これから紹介する字にはすべて「谷」の字形をふくんでいますが、この「谷」の形には二つの意味があります。

 一つは皆(みな)よく知っている「谷」です。この場合の「谷」は山の谷の入り口の形です。古代文字は上に「八」が重なったような形ですが、これは山脈が重なり迫(せま)っている形です。下は「谷」の入り口を示(しめ)しています。

 もう一つは神様が現(あらわ)れくる神気が満ちていることを表している「谷」です。下の「口」が顔の「くち」ではなく、神様への祈(いの)りの言葉である祝詞(のりと)を入れる器、サイのことで、そこに神様が現れてきて、神気が満ちているのです。

 そして実は「谷」をふくむ字の多くが、この神気の現れを示すものなのです。「容」もそうです。

 「容」の「宀」は先祖(せんぞ)を祭る廟(みたまや)の屋根の形です。廟の中に「口」(サイ)を置いて祈ると、その上にかすかに現れた神の姿(すがた)を「容」と言います。そこから「すがた、ようす」の意味となりました。

 「溶(よう)」という字の「容」も現れた神の姿です。その神の姿が廟の中に満ちあふれるという意味です。それに「さんずい(さんずい)」を加えた「溶」は「水が豊(ゆた)かに流れること」です。

 中にすべてが溶(と)けこむことから「とける」意味の「溶解(ようかい)」などに使います。「容」に「火」を加えた「熔(よう)」も「とける」意味ですが、これは金属(きんぞく)が火で過熱(かねつ)されて「熔解」することです。

 最後に一つ。山の「たに」を示す「谷」の古い字形に「谷」の「口」が「口」(サイ)を表しているものもあります。これは「谷」の入り口を聖(せい)なる場所として、「口」(サイ)を加えて祭ったのだろうと白川静さんは考えていました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「容」は小学5年生で学ぶ漢字です。「谷」は小学2年生で学ぶ漢字です。

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