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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(287)「湖」 川の大きな袋 

2014.3.28 10:01
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 胡瓜(きゅうり)、胡麻(ごま)、胡椒(こしょう)にすべて「胡(こ)」がついていますね。これらは食料関係ですが、他にも「湖」などに「胡」がふくまれています。これらのことについて、ちょっと紹介(しょうかい)したいのです。

287ko.JPG

 それらに共通する「胡」という文字は「牛のあごの下の垂(た)れ肉のこと」だそうです。そして北方民族のことを「胡」と言います。これは北方の民族は、あごの下に瘤(こぶ)を病む風土病があるので、「胡」と呼(よ)ばれたという説もあるようです。

 例えば「五胡」とは中国の五胡十六国時代以来、北方・西部に居住(きょじゅう)した異民族(いみんぞく)のこと。具体的には匈奴(きょうど)、羯(けつ)、鮮卑(せんぴ)、てい(てい)、羌(きょう)の5族で、前3者がモンゴルおよびツングース系(けい)(トルコ系とも)、後2者がチベット系です。

 胡瓜、胡麻、胡椒は中国・前漢の旅行家・張騫(ちょうけん)(?~前114年)が西域(せいいき)からもたらしたと言われるので、「張騫もの」と呼ばれていますが、すべてが張騫の西域遠征(えんせい)によって伝来したものではないようです。

 さて、その「胡」は「あごの下の垂れ肉のこと」なので、この字をふくむ文字には「余分(よぶん)なものが一カ所に停滞(ていたい)する」という意味があります。

 「湖」は川の大きなあご袋(ぶくろ)のようなもので、そこに水がたまっている所のことで、「みずうみ」の意味です。

 また「胡」にふくらみ、ゆるむものの意があります。米などをやわらかく炊(た)いたもの、また粗末(そまつ)な食事の意味もあります。「糊口(ここう)」は「粥(かゆ)」をすすること。そこからかろうじて生活する意味となりました。また「糊」にはぼんやりした意味もあって「曖昧模糊(あいまいもこ)」は物事がぼんやりしていることです。曖昧にその場を取りつくろっておくことを「糊塗(こと)」と言います。

 「珊瑚(さんご)」の「瑚」にも「胡」がありますね。白川静さんは「瑚」と「胡」の関係をはっきりとは説明していませんが、「瑚」はサンゴの意味です。サンゴにも分岐しながらふくらんでいく感じがありますよね。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「湖」は小学3年生で学ぶ漢字です。

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