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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(288)「次」 なげく息づかい 

2014.4.3 13:46
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 「次回に期待してください」。そんな言葉で断(ことわ)られて、しかもその理由も理解(りかい)できず、なげいている人の姿(すがた)を見るのはつらいですね。

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 そのなげく人の「姿」という文字の中に「次」の字形がありますね。今回は、その「次」と「姿」の関係について紹介(しょうかい)したいと思います。

 「次」は古代文字が分かりやすいかもしれませんが、人が口を開いてなげき、そのなげく息づかいがあらわれている姿を字にした象形文字です。もう少し詳(くわ)しく説明すると、右の「欠」が口を開いて立つ人を横から見た形で、左の「二」の部分が、その吐(は)く息です。

 ですからもともとの意味は「なげく」でした。それが「弐(じ)」(ふたつ)と音が同じで通用して、「つぎ」の意味となり、次第(順序(じゅんじょ))の意味となったのです。

 そして「姿」はなげき悲しむ女の「すがた」のことです。なげき悲しむ女性(じょせい)の姿が最も姿態(したい)(あだっぽい姿)に富(と)むものであるので、「すがた」という意味の字が女の行為(こうい)として示(しめ)されたのです。

 日本のお役所は諮問(しもん)会議というものをつくるのがたいへん好きです。この「諮問」とは「意見を求めること」です。

 「諮問」の「諮」の右の「咨(し)」は「次」の下に神様への祈(いの)りの言葉を入れる器「口」(サイ)を加えた形です。つまり神に祈り、なげきながら訴(うった)える「なげきはかる」の意味でしたが、次第に「咨」が「なげく」意味のほうだけに用いられるようになりました。

 そこでさらに「言」を加えて「諮」が作られたのです。「諮」は訴えてことを相談することで「はかる」の意味です。

 「恣意(しい)的な行為」の「恣」にも「次」がありますね。「次」に「心」を加えた「恣」は心に任せてなげく意味です。意味は「ほしいまま」です。そこから「自分の欲(ほっ)するままにふるまう心。自分勝手な考え」のことである「恣意」という言葉も生まれました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「次」は小学3年生で学ぶ漢字です。「姿」は小学6年生で学ぶ漢字です

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