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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(289)「府」 交付したものを貯蔵する所 

2014.4.10 18:03

 木や竹や紙などの中央に文字を記し、また印を押(お)して二つに割(わ)り、当事者が一片(いっぺん)ずつ持って後日合わせて証拠(しょうこ)とします。これを割り符(ふ)と言います。その「符」は「竹」と「付」を合わせた文字です。この「付」をふくむ文字は日常(にちじょう)使う漢字の中にたくさんあります。

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 まず基本(きほん)の「付」から紹介(しょうかい)しましょう。「寸(すん)」は古代文字を見ると分かりますが、手の形。つまり「付」は人に手でものを渡(わた)す形で、意味は「わたす、あたえる、つけたす」です。だから「付」をふくむ字には交付、付託(ふたく)する意味があります。

 人にものを渡すのが「付」で、人に渡して、そのことの「しるし」とするものを「符」というのです。中国の漢の時代には竹製(せい)の割り符で同形のものを二つ作って、一つを交付して互(たが)いの証拠(しょうこ)としました。重要なものは青銅(せいどう)で作りましたが、それも竹の節の形式がまもられていました。

 「府」もまた「付」をふくむ文字です。「广(まだれ)」は建物の屋根の形。これは交付されたものなどを貯蔵(ちょぞう)しておく建物のことです。交付したものを貯蔵する場所の意味から、政府(せいふ)のように「つかさ、やくしょ」の意味に用いるようになり、首府(中央政府の所在地(しょざいち))のように「みやこ」の意味に用いるようになりました。

 「付」は渡すので、付け足す意味があります。「附(ふ)」の「付」はその意味。「こざとへん(こざとへん)」は神様が天地を昇降(しょうこう)する階段(かいだん)(または梯子(はしご))です。神様が降(お)りてくる所に付け加えて、神様と合わせて先祖(せんぞ)を祭ることから、「つく、あわせる、したがう」などの意味となりました。

 五つの臓器(ぞうき)と六つの腸(はらわた)のことを「五臓六腑(ろっぷ)」と言います。その「腑(ふ)」の「府」も収蔵(しゅうぞう)するところの意味です。人体を表す「月」(肉づき)をつけて、臓腑、内臓の意味となりました。

 その「腑」は腐(くさ)りやすい部分で、「府」に「肉」を加えて、「腐」の文字ができました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「府」は小学4年生で学ぶ漢字です。「付」も小学4年生で学ぶ漢字です。

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