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文化

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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(290)「程」 豊作を神様に祈る 

2014.4.17 15:03

 「贈呈式(ぞうていしき)は○月○日、××ホテルにおいて」。文学賞などの受賞作が決まると、同時に賞の贈呈式の日程(にってい)が発表されます。この「贈呈式」の「呈」が「日程」の「程」にふくまれていますね。

290tei.JPG

 この「呈」についての説明です。下の「王」に似(に)た部分は「テイ」という字です。イラスト欄(らん)の「呈」の旧字(きゅうじ)形の下部を見てください。「ノ」の下に「土」を記したような形になっています。

 これは「土」の上に、つま先で立つ人を横から見た字形です。

 「呈」の「口」は「くち」ではなく、神への祈(いの)りの言葉を入れる器「口」(サイ)です。「口」(サイ)を高く掲(かか)げて神に呈示(ていじ)するのが「呈」で「さしあげる、すすめる」の意味となりました。

 その「呈」に「禾(のぎへん)」を加えたのが「程」です。「禾(か)」は稲(いね)などの穀物(こくもつ)のことですから、「程」の元の意味は「豊作(ほうさく)を神様に祈る」意味です。

 穀物の量を「はかる」ことから、物事の度合いである「程度」や目的地までの道のりの「行程」のように「わりあて、みち」などの意味に用いるようになりました。

 また勝手に振(ふ)る舞(ま)い、世の秩序(ちつじょ)を乱(みだ)す、けしからぬ者を「不逞(ふてい)の輩(やから)」と言います。その「逞」の「にてんしんにょう(しんにゅう)」は道を進んでいくこと。それと「呈」を合わせた「逞」は勝手なことをみだりに神に祈ることです。意味は「ほしいままにする」ことです。

 「不逞」は快(こころよ)からず思うこと。満足しないで不平をいだいて、無法なふるまいをすることです。

 「呈」の、そのままではありませんが、「聖(せい)」の下の「王」も「呈」「程」と同じように「土」の上で、つま先立つ人を横から見た字形です。

 「聖」の「耳」は神の声を聞く「耳」です。「口」は、やはり神への祈りの言葉を入れる器「口」(サイ)です。つまり祈りの言葉を唱えながら、つま先で立って神に祈り、神のお告げを聞くことができる人が「聖(ひじり)」でした。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

 【編注】今回テーマの漢字「程」は小学5年生で学ぶ漢字です。

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