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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(291)「庭」 朝廷の儀式を行う所 

2014.4.24 11:21
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 「校庭」の「庭」の「广(まだれ)」は建物の屋根の形です。「法廷(ほうてい)」の「廷」には「广」がありません。今の感覚からすると、逆ですね。建物の中の「法廷」には屋根の「广」がなく、屋根のない「庭」に「广」があるのです。

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 「廷」の「壬」の部分は「呈(てい)」「程(てい)」の回でも紹介(しょうかい)しましたが、「ノ」の下に「士」を書いた今の形ではなく、「ノ」の下に「土」を書いた「テイ」という字でした。「廷」の古代文字をみると「土」のかたまりに、酒を加える儀式(ぎしき)をしていて、その傍(かたわ)らにつま先立つ人が書いてあります。

 「呈」「程」の「王」の部分は土の上でつま先立つ人でした。「廷」は「土」の横でつま先立つ人ですが、同じ音の「テイ」で読みます。昔は土まんじゅうを置き「社(やしろ)」の神としました。その「土」に酒をかけて神を招(まね)く場所が「廷」です。

 「廴(えんにょう)」はその場所を囲う障壁(しょうへき)です。この「廷」では任命(にんめい)式や表彰(ひょうしょう)式が行われましたが、後に「廷」に屋根がつくようになり「庭」ができました。でも元は「廷」「庭」は朝廷の儀式を行う所で同じ意味でした。現在は使い分けて、「庭」は「家庭」などにも使います。

 「ノ」の下に「土」を書いた「テイ」は人がつま先立つ形。「呈」はその人が、神様への祈(いの)りの言葉を入れる器「口」(サイ)を捧(ささ)げ、つま先立って祈る字形です。ですから「テイ」の字形をふくむ「廷」は、ぬきんでて立つ「挺立(ていりつ)」の意味や、真っすぐのものの意味をふくんでいます。

 まさに「挺」は「ぬきんでる」意味です。「さきに突き出す」の意味もあります。「挺身」は身を投げ出すことです。

 「梃(てい)」は「つえ」のことです。この「廷」にも真っすぐのものの意味があります。国語では「てこ」の意味に用います。

 「艇(てい)」は「こぶね」のこと。この「艇」にも狭くて長く真っすぐなものの意味があります。ボートの倉庫を艇庫という。モーターボートの競争を競艇という。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「庭」は小学3年生で学ぶ漢字です

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