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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(292)「深」 水中のものをさがす 

2014.5.2 19:18
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 「深」という字も「探(たん)」という字も小学校で学ぶ漢字です。「水深がある」ので「さんずい(さんずい)」がついているほうが「ふかい」意味。八方手を尽(つ)くして「さがす」のは「探」などと覚えていました。でも両字に共通している部分はどんな関係にあるのかということについては、学びませんでした。

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 「深」「探」に共通の右の形は古代文字やイラストのほうが理解(りかい)しやすいです。上の部分が「穴(あな)」で、その下は「木」ではなく、「火」を持って「穴」の中をさがすという文字です。それに「てへん(てへん)」を加えた「探」は穴の中で火をかざしてものをさがすことです。

 「さんずい」を加えた「深」は、もともとは水中のものをさがすことでした。そこから「水のふかい」意味となり、後にすべてのものの「ふかい」意味となりました。

 また「さがす」という漢字には「探(さが)す」のほかに「捜(さが)す」と表記もあります。新聞などでは、欲しいものをさがすのは「探」、見えなくなったものをさがす場合は「捜」を使っています。

 そしてこの「捜」も、また「火」に関係する漢字なのです。「捜」の旧字(きゅうじ)「搜」の右側の「叟(そう)」は正字を「宀(うかんむり)」の下に「火」、さらに下に「又(また)」という形です。「宀」は屋根、「又」は手の形です。つまり廟(みたまや)の中で火を持っている姿(すがた)です。

 廟の祭りは夜通し行われ、この際(さい)に火を持って夜祭りを指導(しどう)するのは同族の長老の仕事でした。その人を「叟」と言います。意味は「としより」です。「嫂(そう)」は兄の妻(つま)で、意味は「あによめ」です。家の廟に仕え、守るのは「嫂」でした。

 「叟」に、さらに「てへん」を加えた「捜」(搜)は、暗い廟の中で火を持つので、「さがす」の意味となりました。

 「痩(そう)」の旧字「」も「叟」をふくむ文字ですが、これは老年者に痩(や)せた人が多いから「やせる」意味となりました。病でもやせるので「痩」に「やまいだれ(やまいだれ)」がついているのです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「深」は小学3年生で学ぶ漢字です。「探」は小学6年生で学ぶ漢字です

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