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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(293)「納」 税として織物を納める 

2014.5.8 14:24
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 漢字を学び始めた幼(おさな)いころ、「人」と「入」の文字を間違(まちが)えませんでしたか。覚えてしまえば簡単(かんたん)ですし、手書きなら字形もかなり違(ちが)いますが、印刷の活字だと現在(げんざい)の形もよく似ていますね。

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 「人」は人を横から見た姿(すがた)です。では「入」のほうは何でしょうか。

 古い字は木を「∧」の形に組んだもので、「入」は室の入り口のことです。これに屋根の形を加えた形が「内」という字です。「入」は入り口から「いる、いれる、はいる」ことで、入り口から入った「内」は「うち、なか」の意味に使います。

 この「内」に関する字では「納(のう)」もその一つ。「糸」がついているのは、税(ぜい)として織物(おりもの)を 納入したからです。後にすべてのものを「おさめる」となりました。

 金銭(きんせん)や物品の出し入れを「出納(すいとう)」と書きますが、古くは「出内」「出入」と書いたそうです。

 もう一つ「入」の字を紹介(しょうかい)しましょう。「込(こ)」です。でもこれは日本人が作った国字です。一定の場所に詰(つ)め込み、いっぱいになることです。

 では「出納」の「出」の成り立ちはどうでしょう。古代文字が分かりやすいです。足を踏(ふ)み出す時の、かかとの跡(あと)が強く残る形です。古代文字の上部は「止」の形で足のこと。その下に足跡を曲線でかいて、強く踏み出すことを表しています。

 「出」に関係した文字もいくつかあります。「咄嗟(とっさ)の判断(はんだん)」とかの「咄嗟」の「咄」にも「出」の字形があります。左側の「口」は、この場合は「くち」のことのようです。「咄嗟」は急なことに驚(おどろ)くことで、「咄」は舌(した)をうつ擬声(ぎせい)語だと白川静さんは説明しています。

 意味は「しかる、おどろく」です。「はなし、こばなし」の意味は日本語の用法です。

 また「訥(とつ)」という字は「いいなやむ、口がおもい」意味です。「朴訥(ぼくとつ)」は「飾(かざ)り気がなく、話下手(べた)のこと」。「訥弁(とつべん)」は「話し方がなめらかでないこと」です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「納」は小学6年生で学ぶ漢字です。「入」は小学1年生で学ぶ漢字です。「内」は小学2年生で学ぶ漢字です。「出」は小学1年生で学ぶ漢字です

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