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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(294)「営」 宮殿での仕事にいそしむ  

2014.5.15 11:44
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 企業(きぎょう)の経営者(けいえいしゃ)たちは、不況(ふきょう)でも、なんとか会社を繁栄(はんえい)させたいものです。でも、それには優秀(ゆうしゅう)な労働者が必要です。

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 この「経営」「繁栄」「労働」にある「営」「栄」「労」は「火」に関係した文字です。それは各字の旧字(きゅうじ)「營」「榮」「勞」を見れば分かります。それらの漢字の関係について紹介(しょうかい)しましょう。

 「冖(わかんむり)」の上に「火」が二つある字形である「えい」は、たいまつのかがり火を組んだ文字で庭火のことです。

 「営(營)」は、その庭火と「呂(りょ)」を組み合わせた形。「呂」は「宮殿(きゅうでん)」や「兵舎(へいしゃ)」の建物を二つ連ねた形の平面形です。「営(營)」は軍隊や宮殿などの仕事にいそしみ努めることから「いとなむ」となりました。

 「労(勞)」の「力」は農具の鋤(すき)の形です。字形上部のたいまつを組み合わせた形は聖(せい)なる火です。この聖火で鋤をお祓(はら)いしてから農耕(のうこう)を始めました。その火で農具を祓うと害虫が避(さ)けられると考えられていたのです。

 農具の鋤を火で清めるのが「労(勞)」。その鋤を使って農耕をするのが労働ですから大変な力仕事でした。「苦労」「労役」「疲労(ひろう)」など、つらい言葉に「労」がふくまれているのも分かるような気がしますね。

 「労」は農業関係ですが、漁業関係の言葉に「漁撈(ぎょろう)」があります。魚、貝、藻類(そうるい)を採取(さいしゅ)することです。「撈」の意味は「すくいあげる、とる」です。「漁撈」が元の表記ですが、今は「漁労」の文字を使っています。

 繁栄(はんえい)の「栄(榮)」は庭火の「火」で明るく華(はな)やぐ意味を草木に及(およ)ぼして、「はなやぐ、 さかえる、はえる」などの意味に使います。

 最後に紹介したいのは「蛍(けい)」です。その旧字は「螢」ですが、これは説明する必要もないかもしれません。たいまつを組んだ庭火の飛び交う様子が、光を発して飛び交う蛍(ほたる)(螢)の様子に似ているので「ほたる」となったのでしょう。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「営」は小学5年生で学ぶ漢字です。「労」と「栄」は小学4年生で学ぶ漢字です

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