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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(296)「術」 道路にて霊力ある獣で占う  

2014.5.29 10:54
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 医師(いし)になるには国家試験に 合格(ごうかく)しなくてはなりません。医術(いじゅつ)を学ぶには医学部のある学校に通わなくてはいけないのです。外科医になれば、手術もしなければいけませんね。その「医術」「手術」の「術」の字について紹介(しょうかい)したいと思います。

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 「術」の「朮(じゅつ)」は呪霊(じゅれい)(霊の力)がある獣(けもの)の形です。「行」の部分は大きな道が交差する十字路の形です。十字路はいろいろな霊が行き来する場所です。その道路で、霊の力がある獣を用いて軍隊を進軍するかどうかなどを占(うらな)ったのです。

 そのような呪術、わざを「術」と言います。確(たし)かに「魔術(まじゅつ)」「忍術(にんじゅつ)」などの「術」には、この世のもの以外の力、マジック的な力を感じさせるものがありますね。後に「わざ、しごと、習いごと」の意味になりました。

 道路で、霊力がある獣「朮」を用いて軍隊を進軍するかどうかなどを占った字が、日ごろ使う文字の中にあります。

 それは「述(じゅつ)」です。「しんにょう(しんにゅう)」も道路を行くことを表す字形。道路で霊力がある獣「朮」を使って占い、その決定にしたがうので「述」に「したがう」の意味があります。

 白川静さんが字書「常用字解(じょうようじかい)」で紹介していますが、中国の思想家・孔子(こうし)や弟子たちの言葉を集めた「論語(ろんご)」に「述(の)べて作らず」という言葉があります。古典にしたがって、そのままにいい、自ら創作(そうさく)することをしないという意味の言葉です。

 この「述べて」が「したがう」ことから「前の通りにいう、のべる」の意味となったのです。

 もう一つ、道路で霊力がある獣を用いる「術」に関係した字を紹介しましょう。「遂(すい)」です。

 「遂」の「しんにょう」は道を行く意味。「しんにょう」を除(のぞ)いた部分は霊力がある獣の形です。その獣を用いて、ある行為(こうい)を継続(けいぞく)するかどうかを占い、その占いの結果、行為を継続することを「遂」と言います。遂行する、物事を最後まで成し遂(と)げるので「遂」は「ついに」の意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

 【編注】今回テーマの漢字「術」は小学5年生で学ぶ漢字です。「述」も小学5年生で学ぶ漢字です

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