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なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(297)「許」 祈り聞き入れ、神が許す  

2014.6.5 12:53
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 今年は「午年(うまどし)」ですね。「午(ご)」は十二支(し)の獣(けもの)の名前に当てはめて「うま」と読みますが、もともとは、「杵(きね)」の形をした器のことです。古代中国では、この杵の形をした「午」を使った呪(まじな)いや占(うらな)いが行われていました。

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 古代中国の道路はいろいろな霊(れい)が行き交う場所で、その道路ではさまざまな呪いや占いが行われたのです。「行」は道路の交差点のことですが、この交差点で、霊の力がある獣「朮(じゅつ)」を使って、占う文字が「術(じゅつ)」です。

 今回紹介(しょうかい)する「御(ぎょ)」も道路で行われた呪術を表す行為です。「彳(ぎょうにんべん)」は道路の交差点の形である「行」の左半分で、道路のことです。その「彳」に「卸(しゃ)」という文字を加えたのが「御」です。

 まず「卸」の文字から説明しましょう。「卩(せつ)」以外の左側の文字は「午」(杵の形)あるいは「幺(よう)」(糸束の形)です。「卩」は跪(ひざまず)く人の形ですから、「卸」は「午」や「幺」に跪いて拝(おが)む文字です。拝んで神を降(お)ろし迎(むか)え、悪い霊を禦(ふせ)ぐ儀式(ぎしき)が「卸」です。

 後に「車馬」から物を解(と)き卸(おろ)す意味となり「おろす、とく」の意味となりました。日本では「卸(おろし)売り」「卸問屋」などの意味に使っています。

 この「卸」に「彳」を加えたのが「御」です。これは道路で、「午」(杵の形の器)などを拝み、神を降ろし迎え、悪い霊を禦ぐ儀式です。神を迎え、神に仕えるので「つかえる、もちいる」の意味があります。後に「ふせぐ」意味には「禦(ぎょ)」を使いました。「御」を日本語では「おん、お」と読み、尊敬(そんけい)を表す接頭語(せっとうご)として用いています。

 「言」に「午」を加えた文字が「許(きょ)」です。杵の形をした「午」を拝んで神に祈(いの)ると、神が降りて来て、祈りを聞き入れて許(ゆる)すのです。それを「許」と言います。「許」は神が「ゆるす」ことでしたが、後にすべての「ゆるす、みとめる」の意味となりました。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

 【編注】今回テーマの漢字「許」は小学5年生で学ぶ漢字です。「午」は小学2年生で学ぶ漢字です。

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