メニュー 閉じる

47News

文化

文化

なるほど漢字物語

文化勲章を受けた漢字学者の白川静さん(故人)の研究を基にして、漢字の体系的な仕組みを楽しく伝える企画です。

(299)「宇」 あらゆるものを包む空間 

2014.6.19 14:04
Share on Google+ このエントリーをはてなブックマークに追加

 イモは好きですか。サトイモ、ジャガイモ、サツマイモの「芋(いも)」です。その「芋(う)」と「宇宙(うちゅう)」の「宇」に同じ字形がふくまれていますね。その関係を紹介(しょうかい)しましょう。

299u.JPG

 「芋」と「宇」に共通する「于(う)」は「曲がった形を作るための添(そ)え木」の形です。また「刃(は)の長い曲刀」の形です。「平」の旧字(きゅうじ)形は「于」と「八」を合わせた形です。この場合の「于」は 刃のついた長い 手斧(ておの)の形。「八」は木片(もくへん)のこと。つまり手斧で木を平らに削(けず)って木片が左右に飛び散る形が「平」です。

 この場合の「于」は「刃の長い曲刀」のことですが、「于」には「長い曲刀」の意味から「大きい」「曲がったもの」の意味があります。

 「宇」の「于」は、その「大きく、ゆるく曲がったもの」の意味です。「宇」には大きな建物、また「家」「軒(のき)」の意味があります。「宇宙」とは「あらゆるものを包みこむ空間」のことです。

 「う(う)」という古代楽器があります。雅楽(ががく)で演奏(えんそう)される楽器に笙(しょう)というものがありますが、うは笙をより大きくした楽器です。笙より大きいので音は1オクターブ低い楽器で、日本の正倉院にあったものが、日本人によって復元(ふくげん)され、現代(げんだい)でも演奏に使われています。

 ものを避(さ)けて遠回りすることを「迂回(うかい)」と言います。この「迂」の「于」は「曲がること」です。「にてんしんにょう(しんにゅう)」は道を行くこと。ですから「迂」には「まわる、さける、とおい」などの意味があります。

 「紆余曲折(うよきょくせつ)」は道などが曲がりくねっていること。こみ入った事情(じじょう)から、物事が複雑(ふくざつ)な経過(けいか)をたどることの意味ですが、この「紆」の「于」にも「ゆるく曲がる」意味があります。「紆余」とは屈折(くっせつ)することです。

 「芋」は白川静さんの字書「常用字解(じょうようじかい)」には太くて長い形の「いも」をいうとあります。地下茎や根が大きくふくらんだのが「芋」です。元は「芋」はサトイモのことのようです。その葉も大きいですね。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

 【編注】今回テーマの漢字「宇」は小学6年生で学ぶ漢字です

最新記事

関連記事一覧