(716)日本で初めて展示できたわけは? トゲビクニン 

2022年06月18日
共同通信共同通信
トゲビクニン(マリンピア日本海提供)
トゲビクニン(マリンピア日本海提供)

 

 新潟市の水族館、マリンピア日本海の「佐渡の深海」コーナー。すきとおった体のザラビクニンという魚の近くに、トゲビクニンという魚がいた。担当の新田誠さんに「同じ仲間ですか」とたずねると「こちらのことを聞いてほしかったんです」と言い出した。

 トゲビクニンはザラビクニンよりずっと小さい。でも、すがたが似ているので「小さいザラビクニン」だと思われていた。7年ぐらい前、研究で別の種と分かり、トゲビクニンと名前が付いた。

 「われわれは10年ぐらい前から、この魚がホッコクアカエビ漁のかごに入り出したのに気づいていました」。ザラビクニンだと思っていたら、小さいのに、死んだとき、おなかを開くと卵がいっぱい入っていた。

 「それで別種かもしれないと思い、展示せずにバックヤードで育てていました」

 3年前、トゲビクニンという名前を付けた京都大学の先生に標本を送ったら「まちがいなくトゲビクニンです」と返事が来た。

 「それでトゲビクニンとして日本で初めて展示したんです」

 ザラビクニンもトゲビクニンも体がぶよぶよ。「筋肉に水分が多いからです。深海は水圧が高い。たとえばボールをしずめるとつぶれます。でもボールに水が入っているとつぶれません」。そうか、体がつぶれないように筋肉を水で満たしているんだ。(文・佐々木央)=2022年3月配信