(705) 緑いっぱいの中の鳥たち 野鳥観察所(上)

山口県周南市の徳山動物園に「野鳥観察所」という名前の大きなケージがあった。2重のとびらを開けて中に入る。
通りぬけの道のまわりは緑がいっぱいだ。ゆっくり行くと、滝を流れ落ちた水が、池にそそいでいる。滝の上の方には白い鳥たち。クロツラヘラサギとコサギだ。

入り口の説明には「ここにはおよそ20種類70羽の鳥たちがくらしています」と書いてあった。まだ2種類しか見つかっていない。ほかの鳥たちは?
道を逆に歩いてみる。草の中に、ずんぐりしたコジュケイ。目の上の木にいるのはキジバトらしい。足元に羽の色がきれいな鳥も出てきた。ニホンキジのオスだ。

担当の柴田智子(のりこ)さんに話を聞こうとしたら、そのキジが柴田さんの長ぐつを何度もつつく。くつの上からでも、痛そうだ。「えさをねだっているんですか?」と聞いた。

「いえ、お客さんとちがって、わたしたちはこの道だけでなく、中の方にも入ります。だから、かれにとっては縄ばりをあらされているという気持ちかもしれないし、自分が縄ばりをちゃんと守っているところを見せたいのかもしれません」
ずっとおくの方に緑色がかった鳥が見えた。「アオバトですよ」と柴田さんが教えてくれる。
まだ10種類も見つかっていない。もっとさがさなくては。(文・写真、佐々木央)=2021年12月配信