(694)新種発見 和名に入った自分の名前 ヒラサワツブゲンゴロウ

福島県猪苗代町のアクアマリンいなわしろカワセミ水族館に「大発見 福島県から新種のゲンゴロウ」と書かれた説明板が置かれていた。
新種の日本語の名前はヒラサワツブゲンゴロウ。「本種発見のきっかけとなる生体を採集した当館職員の平沢桂(けい)に献名されたものです」とある。
その平沢さんに話を聞くと「わたしは見つけただけなんです」と、けんそんする。平沢さんはゲンゴロウを調べたり、保護したりする人たちと力を合わせてきた。だからとてもくわしい。
「もともとコウベツブゲンゴロウという種があって、研究が進んで、それがニセコウベツブゲンゴロウと二つに分かれた。見つけたのはニセコウベだと思っていたんです」
体長3・5ミリぐらい。とても小さいから顕微鏡で調べる。どうもニセコウベともちがうようだった。「それで研究者に送ったんです」。新種だと分かって去年発表された。
世界共通の名前には「ヘブス」という言葉が入っている。
「福島県にはモリアオガエルで有名な平伏沼という所があって、そこで見つけたからです」
平沢さんは研究者に「名前に福島にちなむ言葉が入ったらうれしい」と話していた。「そうしたら学名にヘブスが入っていて、日本語名には平沢を入れていただいて」。うれしい気持ちが伝わってきた。(文・佐々木央)
