(692) 正面から見た顔がかわいい ゲンゴロウ

福島県猪苗代町のアクアマリンいなわしろカワセミ水族館にある「おもしろ箱水族館・生物多様性の世界」のエリアには、小さな箱形の水槽がずらーっとならんでいる。
何種類の生きものがいるんですか?
「70~80種です。そのうち40~50種がゲンゴロウの仲間です」とチームリーダーの平沢桂(けい)さん。
ゲンゴロウってそんなにいるんですか? 「日本には150種ぐらい、そのうち福島県では50種ぐらい見つかっています」
水槽の中を見くらべると、ふつうのゲンゴロウは体が大きい方だ。よく見えないほど小さいのも、水中を泳いでいる。
気づかないだけで、わたしたちはたくさんの生きものとくらしている。このエリアはそれを実感してほしいと、平沢さんが提案してできた。
平沢さんは昆虫少年だった。「図鑑をぼろぼろになるほど読んでました」。でも東京に住んでいたので、実物のゲンゴロウは見たことがなかった。
小学生の時、500円持って祭りの縁日に出かけた。「300円で売っていたんです」。迷わず買った。でもその夜、家の外に出しておいたら、朝、いなくなっていた。
だから水族館に勤めてゲンゴロウに再会した時、とてもうれしかった。
どこが好きですか?
「これ、この正面顔がかわいいんです。これは最大の魅力(みりょく)だと思います」(文・写真、佐々木央)=2021年9月配信
