(689)尾羽を上下に動かす理由探して キセキレイ

福島県猪苗代町のアクアマリンいなわしろカワセミ水族館の「川のいきもの」のエリア。ガラスごしに見える風景は、本物の谷川のようだ。
岩の上に、長く細い尾羽が目立つ鳥がいた。せなかは黒と灰色、胸のあたりは黄色みをおびる。
キセキレイと書いてある。セキレイという鳥の仲間で、黄色みがあるから、そうよぶらしい。
担当の石井桃子さんに「ここには2羽ですか?」と聞いたら「3羽ですよ」と言われた。
いっしょにさがした。「こことあそこと…ほらあっちにも」。奥にいるのを見落としていた。
「ひなの時、ヘビにおわれていたのを、たまたま見つけて保護しました」。といっても、野生のキセキレイを勝手につかまえることはできない。その前にちゃんと許可ももらっていたそうだ。
1週間ぐらいは、石井さんたちがえさをやって育てた。じゃあ、お母さんだと思ってるのかな。
「いいえ、自分でえさを食べられるようになったら親ばなれするので、そんなに近い距離感じゃありません」
石井さんがおもしろいことを言いだした。「尾羽をピコピコしてるでしょ」
ほんとだ、時々、尾羽をピコピコ上下させる。
「かわいいでしょ。でもどうしてああいうふうにするのか、わかっていないんです。みんなが見に来て、理由が分かったら教えてください」(文・写真、佐々木央)=2021年9月配信