(688)肩に乗っても気づかない カヤネズミ

福島県猪苗代町のアクアマリンいなわしろカワセミ水族館の「川のいきもの」のエリアに入ると、左側の壁が、田舎の農家みたいになっていて、四角い窓がならぶ。
アズマモグラ、クマネズミ、ハタネズミ、アカネズミの窓は横長。最後のカヤネズミだけ、縦長だ。どうしてですか?
担当の石井桃子さんに聞くと「あそこ、巣なんですけど見えますか」と指さす。背の高い草の上の方に、ごちゃごちゃした丸いものが乗っている。
「この子たち、ああいうちょっと高さのあるところに巣を作って子育てする。だから高さが欲しかったんです」
じゃあ、あの中に赤ちゃんがいるんですか?
「いえ、春に生まれた子たちがもう親と同じようになってます」。初めの4頭から増え、いま11頭もいるそうだ。
体長は5~6センチしかなさそう。「体重も軽くて、肩に乗られても気づかず『乗ってるよ』って言われるぐらいです」
ネズミたちのコーナーは、この春できたばかりだ。
「このエリアにはカワセミやカワガラスなんかが展示されているんですけど、自然界なら、そこからちょっと先に足を進めると、足元にこの子たちの巣穴があったりする。だから近い場所で見てほしいと思ったんです」
提案が認められ、スタッフみんなの手作りで完成させたそうだ。(文・写真、佐々木央)=2021年8月配信
