(682)高い山々の上を飛ぶ アンデスコンドル

大きな黒い鳥が、ケージの中の高い岩場に立っていた。翼には白い羽がまじり、首にも、えりまきのような白い毛。顔はオレンジや赤みをおびたような色だ。
徳島市のとくしま動物園にはアンデスコンドルが7羽もいる。担当の児島健一(こじまけんいち)さんによると、日本の動物園では一番多い。
とくしま動物園は、日本で飼育されているアンデスコンドルのデータをまとめ、増やすための計画を作っている。「計画管理者」というそうだ。動物園のシンボルマークもアンデスコンドルだ。
7羽のうち1羽だけは、体が茶色だ。6年前に生まれ、ココと名付けられた。「親と同じ黒い色になるまでに、8年から10年かかるといわれています」と児島さん。
ココはメス。オスには、とさかがあり、メスにはない。オスの顔が迫力があって、かっこいいと思ったら「オスの顔がこわいという子どもさんもいます」。
お客さんの中には、昔ヒットした「コンドルは飛んで行く」という歌を口ずさむ人もいるそうだ。
大きいものだと、翼を広げると3・5メートルにもなる。このつばさで上昇気流に乗って飛ぶ。
「空を飛ぶ鳥の中では最大級です。こんな大きな鳥が南アメリカのアンデス山脈の高い山々の上を飛んでいるんです」。想像するだけで、雄大な気持ちになった。(文・写真、佐々木央)=2021年7月配信
