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生きもの大好き

動物園や水族館にはさまざまな生きものがいる。その魅力(みりょく)を探ろう。

(601)稚魚が泳ぎ出た日、泣いた イタセンパラ

2021.9.14 11:00
イタセンパラのむれ。魚として生きるのは、たった7カ月だ=名古屋市の東山動植物園提供
イタセンパラのむれ。魚として生きるのは、たった7カ月だ=名古屋市の東山動植物園提供

 

 名古屋市の東山動植物園にある「世界のメダカ館」は、国の天然記念物のイタセンパラという魚の繁殖に成功している。
 飼育係の水野展敏(のぶとし)さんによると、昔はたくさんいたけれど、今は東海地方では木曽川でしか見つかっていない。絶滅寸前だ。水野さんたちは8年前から飼育と繁殖に取り組んできた。
 「手探りの出発で6年間はほとんど繁殖できなかった。ほかの水族館で繁殖がうまくいっているところもあったので、とてもくやしい思いをしてきました」
 イタセンパラの一生はちょっと変わっている。10月ごろ、二枚貝に卵を産み付け、卵は4日でかえる。でも、そのまま貝の中で寒い冬を越し、春に貝から稚魚が泳ぎ出る。夏にぐんぐん成長して秋に産卵し、多くは死んでしまう。
 水野さんたちは飼育を一から見直した。稚魚が貝から泳ぎ出てきたのは2年前の朝。「今までつらかったせいか、泣いてしまいました」
 不思議な種名は「薄い板のように平たく、オスのおなかは鮮やかな色になる魚」という意味。鮮やかという漢字の音読みが「セン」だ。
 「イタセンパラが生きていくためには、卵を産み付ける二枚貝も、元気で川の中にいることがとても大切です。すごく臆病な魚ですが、みんなに見てほしい」(文・佐々木央)=2019年12月配信

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