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文化

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(582)虫を閉じこめて食べる ムジナモ

2021.3.1 11:00
水面近くに浮くムジナモ。くきの根元(左側)に見える丸いふくろみたいなところで虫をつかまえる
水面近くに浮くムジナモ。くきの根元(左側)に見える丸いふくろみたいなところで虫をつかまえる

 

 水槽に魚がいない。水面近くに10センチ前後の水草が何本か浮いていた。くきから葉が輪のように出ている。埼玉県羽生市の「さいたま水族館」で育てているムジナモだ。

 「見た目にはただ浮いているだけで地味ですが、ムジナモはムサシトミヨとならぶ当館の目玉、モウセンゴケ科の食虫植物です」と飼育係長の大平信一(おおひらしんいち)さん。どうやって虫を食べるんだろう。

 スローモーションビデオが流れていた。葉のなかで、二枚貝の形をした部分が、ぱっと開閉(かいへい)して小さな虫のようなものを閉じこめる。スローモーションでも、あっという間だ。「こうやってミジンコや動物プランクトンを食べるんです」

 日本でたった一つのムジナモの自生地が、水族館のとなりにある宝蔵寺沼(ほうぞうじぬま)だ。国の天然記念物になっている。羽生市全体でとても大切にしていて、近くの小学校には栽培クラブもあるそうだ。

 ここではどんな虫をあたえているんですか? 答えは意外だった。「植物なので特にえさをやらなくてもだいじょうぶなんです。ふつうに光をあびて光合成で育ちます」

 冬になると「冬芽」になって水の底にしずみ、春になるとまた浮かんできてふえる。花も咲くんですか?

 「夏場の気温が高い時、まれに5ミリぐらいの白い花をさかせます」。その花が見たいなと思った。(文・写真、佐々木央)

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