【東京舞台さんぽ】「平成狸合戦ぽんぽこ」 多摩ニュータウン開発を題材に

2022年07月11日
共同通信共同通信
映画「平成狸合戦ぽんぽこ」より
映画「平成狸合戦ぽんぽこ」より

 

 1994年に公開されたスタジオジブリのアニメーション映画「平成狸合戦ぽんぽこ」(高畑勲監督)は、東京・多摩地区のニュータウン開発を題材に、すみかの山林を人の手から守ろうと奮闘するタヌキたちの物語。今や約22万人が暮らす巨大都市となったニュータウンで、作品ゆかりの場所を探した。(共同通信=高田麻美)

多摩ニュータウン=2019年5月
多摩ニュータウン=2019年5月

 

 多摩、八王子など都内4市にまたがる多摩ニュータウンは、都心の住宅難を解消するため、65年から約40年かけて開発された。高畑監督は70年代、多摩市にある「日本アニメーション」に在籍しており、当時の記憶も参考に構想を練り上げた。

緑に囲まれた龍生寺阿弥陀堂(右)=東京都八王子市
緑に囲まれた龍生寺阿弥陀堂(右)=東京都八王子市

 

 作中でタヌキたちが抵抗運動の拠点とした「菩提餅山万福寺」は、八王子市の龍生寺阿弥陀堂から着想を得て描かれたという。お堂の周囲には草木が生い茂り、今にもタヌキが飛び出してきそうな雰囲気が漂っている。

京王線聖蹟桜ケ丘駅=東京都多摩市
京王線聖蹟桜ケ丘駅=東京都多摩市

 

 助っ人として四国から招かれた「三長老」が人間に化けて降り立った駅は、まるで京王線聖蹟桜ケ丘駅(多摩市)。三長老と力を合わせて人間を化かし、多摩の山から追い払おうとするタヌキたちだが、開発の流れは止められない。

タヌキが描かれた「動物注意」の標識=東京都町田市
タヌキが描かれた「動物注意」の標識=東京都町田市

 

 結局、タヌキたちはすみかを追われ、散り散りになっていく。作中で万福寺の山を切り開いて造られた「トレンディーな住宅地」は、龍生寺から3キロほど離れた場所にある団地「ベルコリーヌ南大沢」とそっくりだ。一部のタヌキが移り住んだ町田市で、都道沿いに作中と同じくタヌキが描かれた「動物注意」の標識を見つけた。

団地「ベルコリーヌ南大沢」=東京都八王子市
団地「ベルコリーヌ南大沢」=東京都八王子市

 

 映画のラストでは、開発が進んだ街の中で「どっこい生きている」タヌキたちの姿が描かれる。実際、ニュータウンに近い多摩動物公園(日野市)には、現在も野生のタヌキがたびたび出没。中にはそのまま園の一員になったちゃっかり者もいるという。

多摩ニュータウン周辺
多摩ニュータウン周辺

 

 【メモ】聖蹟桜ケ丘駅周辺は、ジブリ映画「耳をすませば」の舞台としても知られる。