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文化

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【4034】秀よし 特別純米 神代(ひでよし じんだい)【秋田県】

2019.11.8 17:34

 休日の夕方、ふらりと近所のうなぎ屋へ。うなぎはもちろん美味しいのだが、酒がいい。定番酒はありきたりの地酒3種類ほどだが、店主の“隠し酒”が面白い。この場合の面白い、は特段意味のある言葉ではない。わたくしの興味をそそる酒が多い、ということだ。どんなルートで入れているのか興味のあるところだが、あえて聞かないことにしている。

 席につくと、店主が、おすすめのお酒を持ってきた。今回は「秀よし 特別純米 神代」だった。「秀よし」は、豊臣秀吉を連想させるインパクトのある酒名(由来は文末に記しています)。これまで当連載で4種類を取り上げている。今回のお酒はどうか。いただいてみる。

 非常に酸が立つ。ものすごく酸が立つ。上立ち香は抑えられている。含むと、熟成香が芳しく鼻に抜ける(わたくしは熟成香だとおもったが、熟成香でないとしたら、この香りは何なんだろう?)。旨みは適度。キレが非常に良く、すぱっとキレる。甘みも出ている。辛みも適度。すっきりした飲み口ではあるが、総じて力強い味わい。

 酸が極めて立っているので、味の強い料理向け。うなぎの肝焼きに合わせたが、酸はへたることなかった。マグロの「ぬた」にも耐えられた。余韻にわずかに辛みと苦みが入る。飲み飽きしない食中酒。毎日飲んでも飽きない酒。ただし、熟成香とおもわれる香りが好きか嫌いかで評価が割れる。

 蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「原料米は、田沢湖町神代地区産の『めんこいな』にこだわりました。地熱が高いためかこの地区は例外的に雪が積もらないところと言われ、雪解けも早くて質の良いお米を生産してくれます」。

 ホームページのスペック表示は「原料米 めんこいな、日本酒度+2.5、酸度1.2、アルコール分15度」。このスペックを見て驚いた。あんなに酸が立っているのに、酸度が1.2という酸を感じない程度の数値だったから。このように機械で測定したスペック値と、じっさいに飲んだ印象とでは、著しい乖離があるケースがままある。

 酒名「神代」は、使用米産地の地名だったのだ。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分15度以上16度未満、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合60%、製造年月19.8」。

 使用米の「めんこいな」は、秋田県農業試験場が1988年、母「ひとめぼれ」(その母は「コシヒカリ」)と父「あきた39」を交配、育成と選抜を繰り返し品種を固定。2001年に種苗法登録された主食用米。

 この蔵の創業は1689(元禄2)年。主銘柄「秀よし」の由来について、蔵のホームページは次のように説明している。

「宝暦年間(1751~1764年)に秋田藩主佐竹公が当蔵の酒を『秀でて良し』と激賞され、『ひでよし』の酒名を賜り、嘉永元(1848)年には藩の御用酒を賜りました」

 

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