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文化

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【3741】武士道 純米大吟醸(ぶしどう)【青森県】

2019.3.6 20:31
青森県十和田市 鳩正宗
青森県十和田市 鳩正宗

【北海道・青森県の酒 全5回の②】

 なじみのH居酒屋から「お酒を4本入れたので、テイスティングに来てください」と連絡が入った。わたくしは、酒質を1行で説明する「酒メニュー」を作ってあげている。お客さんが酒を選ぶとき、酒質が分かると選びやすいからだ。そのためにはまず飲まなければならない。

 おっとり刀で暖簾をくぐったら、店主の友人Mが北海道&青森県のかなりマニアックなお酒5種類を差し入れてくれたとのこと。まずは、先にそちらを飲んでみることにする。

 北海道の「千歳鶴 特別純米 北海道限定品」に続き、2番目にいただいたのは「武士道 純米大吟醸」だった。「武士道」はだいぶ前、「武士道 純米吟醸」(当連載【1924】)を飲んだことがある。味は忘れたが、ラベルデザインがコシノジュンコによることは、はっきりと記憶に残っている。

 店主によると、青森県十和田市のグループがまちおこしのために新しいブランドを立ち上げ、第1号の商品がこのお酒という。なぜ「武士道」かというと、十和田市ゆかりの新渡戸稲造(5,000円札の肖像画の人)の名著「武士道」にちなむそうだ。

 ラベルデザインは以前と同じく、黒と青を大胆に組み合わせ、金文字。わたくしが「すげぇ配色だなあ」と言うと、店主は「彼女のデザインにはこういうのがよくあるんですよ。コシノジュンコ的なラベルです」とさらりと言う。デザイナー出身の店主だから、そうなんだろうな。さて、冷酒でいただいてみる。

 酒蛙「やや華やかな上立ち香」

 店主「旨みがすくなめかな」

 酒蛙「含み香はフルーティー。とろみがある。甘みがずいぶん出ており、後味と余韻は苦みが強い」

 店主「酸が出てこないね」

 酒蛙「うん、酸が出ていないね。でも、飲み進めていたら、遅れて次第に酸が出てくるようになる。キレが良い」

 瓶の裏ラベルの表示は「アルコール分15度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合50%、製造年月08.07」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 ところが、このお酒には、青森県の新しい酒造好適米「華さやか」が使われていたのだ。「華さやかブランド推進協議会」のサイトは、この酒を「華やかな香りとふくらみのある味わいで後味のキレがスッキリとした純米大吟醸」と紹介。この酒のスペックを以下のように開示している。

「原料米 華さやか100%、精米歩合50%、アルコール分15%、日本酒度-3、酸度1.5、アミノ酸度0.6、使用酵母 協会酵母」

「華さやか」は青森県産業技術センター農林総合研究所が1997年、母「黒1900」と父「吟ぎんが」を交配。育成と選抜を繰り返し品種を固定。2013年に命名、2015年に種苗法登録された、非常に新しい酒造好適米。

 しかし、蔵のホームページも瓶の裏ラベルも「華さやか」について、まったく触れていない。これから売り出していこうという酒米なので、ホームページにもラベルにも書き込み、盛り上げるべきだとおもうのだが・・・。

 華さやかブランド推進協議会(「華さやか」を使って醸造を行った、または今後行う予定の青森県内酒造メーカー7社で構成されている。今回の鳩正宗も加わっている)のサイトが、「華さやか」について詳しく紹介しているので、以下に転載する。

     ◇

「華さやか」は平成9年に地方独立行政法人青森県産業技術センター農林総合研究所による品種交配で誕生しています。

その類まれなる特性は偶然の発見から生まれました

ある時、同じ地方独立行政法人青森県産業技術センター内の弘前地域研究所の生命科学部の齋藤知明研究員が県内産の酒造好適米の分析を行ったところ、難分解性のタンパク質を含んだ品種を発見しました。それが今の「華さやか」です。

米のタンパク質は出来た日本酒の酒質に影響

通常、米に含まれるタンパク質は醸造中にアミノ酸に分解されますが、そのアミノ酸が多いと出来上がった日本酒の雑味をつくり出すといわれています。そのため日本各地でアミノ酸の少ない醸造方法が研究されています。しかし、発見された品種に多く含まれてるプログルテンというタンパク質は難分解性のためアミノ酸の少ない日本酒が作りやすくなるのです。その結果、雑味の少ないすっきりとした味わいの日本酒になります。

多くの方に愛されるおいしい日本酒造りを目指して

昨年末から醸造した商品は、初めての原料米ということもあり、これまでの日本酒づくりをベースに醸造しています。今後は原料米「華さやか」の特性を生かして、白ワイン様の日本酒、樽熟成の日本酒、低アルコールの日本酒、リキュール風の日本酒等々、日本酒ファンの皆様だけでなく日本酒が苦手な皆様にも愛される様々なタイプの日本酒づくりに地元清酒メーカーが励んでいます。

    ◇

 この蔵の主銘柄は「鳩正宗」。このところ新しい銘柄「稲生」が伸びてきている。「鳩正宗」の由来について、コトバンクは「酒名は、かつて白鳩が蔵元の神棚に棲みついたことに由来」と説明している。

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