【5018】緑川 吟醸(みどりかわ)【新潟県】


【S蕎麦屋にて 全5回の➁】
S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。「新しいお酒が入りましたよ。いらっしゃい」と連絡が来たので、すみやかに暖簾をくぐった。
最初に選んだのは「旭興 特別純米 辛口」、続いていただいたのは「緑川 吟醸」だった。「緑川」は当連載でこれまで、4種類を取り上げている。酒名やラベルデザイン、瓶の色が非常に印象的で、わたくしの記憶に強く刻まれている。さて。今回のお酒をいただいてみる。
上立ち香、含み香ともに穀類的熟成的な香りを感じる。この香りが強く、非常に特徴的。口当たりは、とろみ、まろやか、なめらか。味わいは、まず甘みを感じる。最初は甘みだけを感じていたが、飲み進めているうち次第に酸が出て来る。そして、おもむろに辛みも出てくる。甘みも酸も出ているが、モダンタイプのような甘酸っぱいジューシーな味わいにはならず、甘み、酸がそれぞれ独立しているように感じる。余韻は辛み。クラシックタイプのミディアムボディ。あるいは醇酒と薫酒の中間か。
瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。「滑らかな口あたりに上品な吟醸香がほのかに漂う」「吟醸緑川は低温でじっくり熟成された酒です。滑らかな口あたりとほのかに漂う上品な吟醸香をお楽しみください。冷やしてお飲みいただくか、ややぬるめの燗も絶妙な味わいです」
裏ラベルのスペック表示は「アルコール分16.5度、原材料 米(国産)米こうじ(国産米)醸造アルコール、精米歩合55%、製造年月22.09」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。
酒名および蔵名「緑川」の由来について、「日本の名酒事典」は「初代が緑を好み、町に清流魚野川が流れていたことなどからつけられた」と説明している。