【4969】旭興 夏のしぼりたて 無濾過生原酒(きょくこう)【栃木県】

2022年11月28日
酒蛙酒蛙
栃木県大田原市 渡邉酒造
栃木県大田原市 渡邉酒造

【B居酒屋にて 全7回の③】

 B居酒屋は「全国の地酒200種類を常時置いています」がウリだ。1カ月に1回のペースで店を訪れると、日本酒のラインナップはだいぶ変わっているので、当連載「日本酒津々浦々」の取材に好都合なのだ。今回は、当連載でまだ取り上げたことがないお酒7種類をいただいた。

「郷宝」「菊姫」に続いていただいたのは「旭興 夏のしぼりたて 無濾過生原酒」だった。「旭興」は当連載でこれまで、6種類を取り上げている。さて、今回のお酒をいただいてみる。

 メロンやモモのような果実香をおもわせる甘やかな含み香。やわらかで、ふくよかな口当たり。含むと口の中に甘みが広がる。余韻は辛み。デザート感覚という言葉がふと頭に浮かぶ。最初のうちは、そんな感じのチャーミングなお酒だった。しかし、飲み進めていくうちに、辛みと酸がじわじわと出てくる。味のしないドライなだけの辛みではなく、甘旨みを伴う、しっかりとしたマジ辛みが出てくる。そのうち、味わいは全面的にこの「マジ辛み」となる。しかし、甘旨みがあるので、味に膨らみがあり、辛みと酸がアクセントとなり全体を引き締めている。味の要素では、やはり、甘みと辛みが抜け出ている。

 瓶のラベルのスペック表示は「アルコール分16度、酸度2.0、日本酒度-1.5、使用酵母 協会1801・14号、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、原料米 栃木県産酒造好適米等外米、精米歩合50%、製造年月4.6」。

 堂々と「等外米」(規格外米)を使用していることを明示しているのが素晴らしく、好ましい。等外米を使用すると特定名称酒(大吟醸、特別純米など)を名乗れなく、普通酒扱い。このため、敬遠される傾向にある。しかし、この蔵のように使ってあげると、米生産農家の救済になり、非常に好ましいとことわたくしは考える。しかも、普通酒扱いとはいえ、精米歩合は50%で大吟醸並みの造り。味もしっかりしており、抜群のコストパフォーマンスとなっている。このような動きが全国に広まればいい、とおもっている。

 酒名「旭興」の由来について、日本の名酒事典は「明治25年創業。銘柄『旭興』は、現在の土地に蔵を移す際、東の方角であったことから『朝日(旭)が昇る(興る)』という意味で命名」と説明している。