【4966】岩木正宗 七郎兵衛 純米吟醸 吟風 五拾五 壱火 ひやおろし(いわきまさむね しちろうべえ)【青森県】 青森県つがる市 竹浪酒造店

2022年11月25日
酒蛙酒蛙
青森県つがる市 竹浪酒造店
青森県つがる市 竹浪酒造店

 なじみのH居酒屋で飲み会があった。常連客や関係者約15人が集まり、6種類の酒を玩味しながら楽しく語り合った。15人の飲み会だから、落ち着いてテイスティングが出来ない。約6時間の飲み会が終わったので、「日本酒津々浦々」の取材のため、6種類の酒のうち気に入った「岩木正宗 七郎兵衛 純米吟醸 吟風 五拾五 壱火」を落ち着いてテイスティしようとカウンターに腰を下ろしたら、客の一人から「まだ飲むのか! お前、何様だ!」とひどく叱られた。店からならまだしも客から叱られたのでかなり動揺したが、きちんとテイスティングしたかったので、構わずいただくことにする。

 このお酒を醸している竹浪酒造店は、正保年間(1644~1648)の創業で、青森県で一番古い酒蔵とともに青森県で一番古い会社。当連載でこれまで、この蔵のお酒を8種類取り上げている。この蔵のお酒は従来、熟成香が強い酒が多かったが、今年になって味わった複数種のお酒には熟成香は感じられず、興味深い現象だとおもっていた。

 さて、今回のお酒を飲み会終了後、あらためてじっくり味わってみる。まずは冷酒で。麹香と果実香が一緒になったような上立ち香。やわらか、ふくよかな口当たりで、軽快感がある。味わいは甘酸っぱく、とくにやわらかな酸が良い。フレッシュ感がある。余韻は苦みと渋み。熟成香がまったく無く、これまでの“岩木正宗らしさ”が影をひそめている。酸があり、軽快な酒質なので、飲み飽きしない。これはいい! 宴会酒や毎日の晩酌酒に最適だとおもった。

 次に45℃の燗酒をいただく。甘みと酸が非常に立つ。味は冷酒のときより膨らむ。冷酒もいいけど、燗酒も本当に良い。従来の岩木正宗は熟成酒に寄った造りが特徴だったが、今回のお酒は、トレンドに少し“寄った感”がある。あれも岩木正宗、これも岩木正宗、か。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「アルコール15度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、使用米 吟風100%、精米歩合55%、製造年月4年11月」。ちなみに「ひやおろし」とは、冬から春にかけて搾ったお酒を一度火入れ処理をしてから涼しい蔵で一夏熟成させ、秋口に火入れをせず瓶詰め(生詰)して出荷する酒のこと(通常は貯蔵に入るときと、瓶詰めのときの2回火入れ処理する)。

 使用米の「吟風」(ぎんぷう)は、北海道立中央農業試験場が1990年、母「八反錦と上育404号の子」と父「きらら397」(主食用米)を交配、選抜と育成を繰り返し品種を固定。1999年に命名、2002年に品種登録された、北海道で栽培されている酒造好適米だ。

 主銘柄の「岩木正宗」は、旧蔵(青森県北津軽郡板柳町)の裏を流れる岩木川や、旧蔵近くから良く見える岩木山(青森県最高峰)にちなむ。「七郎兵衛」は、3代目からおよそ8代続く竹浪家当主の名に由来する。