【4963】清泉 純米吟醸 七代目 生貯蔵(きよいずみ)【新潟県】

2022年11月22日
酒蛙酒蛙
新潟県長岡市 久須美酒造
新潟県長岡市 久須美酒造

【Z料理店にて 全6回の⑥完】

 近所のZ料理店に顔を出す。予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。この2年間、コロナで大苦戦を強いられたが、少しずつではあるが、客が戻ってきたようだ。以前のようなにぎわいを早く取り戻してほしい、と切に願う。

「手取川」「山本」「開運」「敷嶋」「明鏡止水」と飲み進め、最後にいただいたのは「清泉 純米吟醸 七代目 生貯蔵」だった。当連載ではこれまで、久須美酒造の酒を6種類取り上げており、うち「清泉」が4種類となっている。今回のお酒は当連載【1182】で取り上げたものと同じだが、あれから9年半たっているので、再度取り上げることにする。さて、いただいてみる。

 香りは抑えられている印象。落ち着き感がある。すっきり、さらりとした口当たり。味わいは、旨みが適度に出ていて、酸が良く出ている。酸は辛みを伴う。酸が全体にメリハリを与えている。余韻は軽い渋み。非常にきれいな酒質。上品感あふれるが、力強さも感じられるお酒。これは美味しい。

 久須美酒造は、幻のコメ「亀の尾」を半世紀後によみがえらせたことで知られる。「亀の尾」は明治時代、今でいうコシヒカリみたいな存在で、当時、最も生産量が多かった主食用米だった。しかし茎が長く倒れやすい欠点があり、やがて姿を消した。しかし「亀の尾」で造った酒は旨い、という言い伝えたあり、同酒造は大変な苦労の末、復刻させた。このコメ作り・酒造り物語が、漫画「夏子の酒」(尾瀬あきら作)のモチーフとなり、そして1994年、連続テレビドラマ「夏子の酒」(フジテレビ系)が放送され、全国に「夏子」が知られることとなった。

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、精米歩合55%、アルコール分15度、製造年月2022.04、蔵出年月2022.10」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。しかし「生貯蔵酒は、生酒を瓶詰時に加熱処理したものです」と説明しているのは親切。また、製造年月と蔵出年月を分けて表示しているのも親切だ。

 ただ、表ラベルに「絵師 千住廣、七代目 久須美賢和、図師 浅葉克己」と書かれ、ラベルの右側に滝とおもえる絵が印刷されている。のはいただけない。七代目は、七代目の蔵元さん、とおおよそ想像つくが、絵師とは? さらに見慣れない図師とは??? 自分たちだけ分かる楽屋落ちみたいなのはいけない。

 この蔵の主銘柄は「清泉」。その由来について、「日本の名酒事典」は、以下のように説明している。「創業は天保4年(1833)。酒名は、樹齢250年を超える老杉が立ち並ぶ裏山に湧く清水に由来する。命名者は東洋大学の創立者・井上円了。その湧水を仕込水に用いて越後の杜氏が仕込む」