【4961】敷嶋 特別純米 夢吟香(しきしま ゆめぎんが)【愛知県】

2022年11月20日
酒蛙酒蛙
愛知県半田市 伊東株式会社
愛知県半田市 伊東株式会社

【Z料理店にて 全6回の④】

 近所のZ料理店に顔を出す。予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。この2年間、コロナで大苦戦を強いられたが、少しずつではあるが、客が戻ってきたようだ。以前のようなにぎわいを早く取り戻してほしい、と切に願う。

「手取川」「山本」「開運」と飲み進め、次にいただいたのは「敷嶋 特別純米 夢吟香」だった。この蔵は復活蔵で、わたくしにとって、当連載【4838】「敷嶋 夏めく 季節限定酒」に続く2番目の酒だ。

 復活劇について、愛媛県松山市の酒販店「井上屋」のサイトは「敷嶋/伊東株式会社」と題し、以下のように紹介している。

「伊東家9代目優氏は、祖父の遺志を継ぎ20年前に廃業した酒蔵の復活を決意。 福持酒造場のタンクを借りて造り始め、一年後クラウドファンディングでなんと300%の応援を得て、復活を遂げました。2022年より創業の地、愛知県半田市亀崎町にて製造を開始、一歩目を搾ります」

 また、蔵のホームページは「敷嶋復活に向けた歩み」と題し、以下のように経緯を紹介している。

「『敷嶋』とは愛知県半田市亀崎町の伊東合資会社にて製造されていた日本酒です。伊東合資会社は天明8年(1788年)に創業し、かつては全国に名が知れた銘醸蔵でした。
 江戸で酒が不足していた頃、亀崎から千石船の直送にて酒を供給し続け、江戸で人気を博しました。同時期に人気だった江戸の国文学者本居宣長の詞『敷嶋の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花』の枕詞から『敷嶋』の名前は生まれました。
 しかし、清酒需要の低下、手掛けていた卸会社の不調等から平成12年(2000年)に200年超の歴史に幕を閉じることになりました。
 時は令和2年(2020年)、伊東家9代目伊東優の手によって、愛知県半田市の敷嶋は復活を遂げました。三重県名張市の福持酒造場様(銘柄:天下錦)にご協力を頂き、タンク1本の『敷嶋 0歩目』が誕生したのです。『0を1に変える』『亀崎での酒造りが1からのスタートライン』そういった想いを込めて『0歩目』と名付けました。
 また翌年には『半歩目』を製造。酒蔵復興を決意した0歩目、そしてその1歩目を踏み出す前の、僅かな、でも確かな歩みを実感し、『半歩』と名付けました。
 さて最初の目標だった半田市亀崎町製造の『敷嶋』復活。廃業時に清酒製造免許を返却しており、先行きが見えないところからのスタートでした。需要と供給のバランスから新規免許は発行されておりません(2021年3月末現在)
 しかし令和3年3月。『0歩目』そして『半歩目』を踏み出し様々な方に復活に向けた歩みを知って頂いたことをきっかけに、ご縁がご縁を呼び、なんと清酒製造免許を再取得することができました。
 2021年12月1日、長い時を超えて、半田市亀崎町に清酒製造元 伊東が帰ってきました。そして、2022年『敷嶋 1歩目』の絞りが行われ、今は多くの方に再び敷嶋を呑んで頂いております」

 さて、いただいてみる。含み香が超独特。杉樽香に似た含み香なのだ。超独特だけど、良い。杉樽似香が、酒全体のアクセントとなっている。それにしても、この含み香の杉樽似香の正体はいったい何なんだろう。口当たりは、さらりとしている。軽快感あり、キレも良い。ガス感が舌先を少しチリチリ刺激する。火入れだけど、フレッシュ感がある。旨酸っぱい味わい。中でも酸が良い。飲み進めていくと、酸がかなり出てくる。そして、辛みも出てくる。余韻は酸と辛み。ざっくりしたくくりだと淡麗辛口酒か。これはいい。全く飲み飽きしない。いくらでも飲める(なわけないが、例えとして)。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「『夢吟香』は山田錦と若水を親に持つ愛知県の酒米です。今回使わせて頂いたのは敷嶋がある知多半島産。地元のお米をきりっと仕上げました。冷酒はあまり冷やしすぎず、常温、燗など様々な温度帯でお楽しみください」

 また、蔵のホームページはこの酒を以下のように紹介している。

「知多半島産の夢吟香を利用したお酒。夢吟香は愛知県の酒米で、山田錦の旨味と若水の複雑な味を併せ持った酒米です。そのお米をサラッと辛口に仕上げました。燗がおすすめです」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 愛知県産夢吟香100%使用、精米歩合60%、アルコール16%、製造年月2022年6月」。

 使用米の「夢吟香」は、愛知県農業総合試験場が2001年、母「山田錦」と父「育酒1764」(「若水」の縞葉枯病抵抗性付与系統)を交配。育成と選抜を繰り返して品種を固定。2011年に品種登録された酒造好適米。