【4959】山本 試験醸造酒 純米大吟醸(やまもと)【秋田県】

2022年11月17日
酒蛙酒蛙
秋田県山本郡八峰町 山本酒造店
秋田県山本郡八峰町 山本酒造店

【Z料理店にて 全6回の➁】

 近所のZ料理店に顔を出す。予約すると、わたくしが飲んだことがないだろうお酒を数種類さりげなく用意してくれる。その心意気がうれしく、月に1回のペースで暖簾をくぐっている。この2年間、コロナで大苦戦を強いられたが、少しずつではあるが、客が戻ってきたようだ。以前のようなにぎわいを早く取り戻してほしい、と切に願う。

 今回、最初にいただいたのは「手取川 ひやおろし 純米大吟醸 生詰」。続いていただいたのは「山本 試験醸造酒 純米大吟醸」だった。チャレンジ精神が旺盛な山本酒造店だが、その蔵をして「試験醸造酒」を名乗るとは、いったいどんな酒なんだろう。興味が募る。

 山本酒造店のお酒は飲む機会が多く、当連載でこれまで、26種類を取り上げている。その中でも今回と同じ「山本」が一番多く、パンチ力のある濃醇酸味酒とのイメージが強い。近年、目覚ましい躍進を遂げており、わたくしの好きな銘柄の一つだ。

 さて、いただいてみる。上立ち香・含み香はしずかで、柑橘系とセメダイン香(酢酸エチル)が混じったような香りがほのかに感じられる。さっぱりとした口当たり。それでいて、やわらか、ふくよか、ソフトな口当たり。味わいは、甘旨酸っぱくて、とくにジューシーな酸が良い。非常にさわやかな印象。余韻も酸。非常にキレが良い。この蔵の一番人気?の「潤黒」(ピュアブラック)をソフトにしたようなイメージのお酒だった。実に旨い。飲みやすい。そして、飲み飽きしない。きれいな酒質でもある。試験醸造酒を名乗っているが、かなり完成度が高いと感じた。

 瓶の裏ラベルは、この酒を以下のように紹介している。

「あえて香りを控え目に、ジューシーでキレのある酒質を目指している山本酒造店ですが、更なる個性を求めて様々な試験醸造を行っています。今回は新品種の酒米『一穂積』を使用し、スッキリという表現だけに収まらない、爽快さの先を探ってみました」

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(秋田県産)米麹(秋田県産米)、アルコール分15度、精米歩合50%、原料米 一穂積98% 秋田酒こまち2%、使用酵母 複数、製造年月 2022.09」。

 使用米の「一穂積」(いちほづみ)は、秋田県農業試験場が2001年、母「越淡麗」と父「秋田酒こまち」を交配。選抜と育成を繰り返して品種を固定。2017年に命名された新しい酒造好適米だ。

 この蔵の主銘柄は「山本」と「白瀑」(しらたき)。「山本」は蔵元さんの名字。「白瀑」の由来について、コトバンクは「酒名は、慈覚大師ゆかりの白瀑神社と名瀑『白瀑』に由来」と説明している。