【4956】千代むすび こなき 純米 よう怪泣かせの超辛口(ちよむすび)【鳥取県】

2022年11月14日
酒蛙酒蛙
鳥取県境港市 千代むすび酒造
鳥取県境港市 千代むすび酒造

【S蕎麦屋にて 全5回の④】

 S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。「新しいお酒が入りましたよ。いらっしゃい」と連絡が来たので、すみやかに暖簾をくぐった。

「黒龍」「赤武」「龍力」と飲み進め、次にいただいたのは「千代むすび こなき 純米 よう怪泣かせの超辛口」だった。千代むすび酒造のお酒は当連載でこれまで、9種類取り上げており、今回のお酒は当連載【999】で取り上げているが、それから10年近くたっているので、再び取り上げることにする。

 妖怪マンガで名を知られる水木しげるは、この蔵のある境港市出身。わたくし、観光で同市を訪れたことがあるが、市の中心街に妖怪のモニュメントを並べて「水木しげるロード」とし、観光客を楽しませている。ということで、この蔵が妖怪を取り上げるのは自然の流れだ。

 以前、このお酒を飲んだとき、熟成香的レトロ的カラメル的穀類的紹興酒的香りがした記憶が強く残っているので、燗上がりしそうな酒とおもい、最初から燗酒で飲むことにする。

 燗酒の温度を50℃(熱燗)と指定したが、出てきた燗酒はそれより上の55℃くらいだった。さて、いただいてみる。

 前述のレトロ的香ばしい香りが口の中に広がる。すぐに辛みがくる。おおっ辛い。マジ辛い。日本酒度を上げるため、ドライなだけで旨みの無い辛口酒が多く出回っているが、今回の酒は、味わいのあるマジ辛。辛みのあとに旨みがついてくるのが良い。ドライなだけの辛口でないのがうれしい。40℃くらいになったら、酸が非常に良く出て来る。この旨みを伴う酸が非常に良い。飲み飽きせず、いつまでも飲んでいられる。辛みと旨みの共存は非常に好ましい。温度は40℃前後がベストと感じた。

 瓶の裏ラベルに「こなき爺じゃ、夢みるぞ。よう怪泣かせの超辛口」と書かれている。お茶目なのがうれしい。ただ、10年前に飲んだときは、そのあとに「日本酒度+15」と書かれていたが、今その文言は無い。

 裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合55%、アルコール分16度、製造年月2022.8」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。

 ゲゲゲの鬼太郎であまりに有名な「子泣き爺」ではあるが、いったいどんな妖怪なのか、となれば、これが分からない。ということで後日(この文章を書いている今ね)、ウィキペディアで調べてみた。

 それによると、「子泣き爺、児啼爺(こなきじじい)は、徳島県山間部などで伝承される妖怪」としたうえで、以下の記述がされている。

 「民俗学者・柳田國男の著書『妖怪談義』に記述のある妖怪の一つで、本来は老人の姿だが、夜道で赤ん坊のような産声をあげるとされている。
 一般には、泣いている子泣き爺を見つけた通行人が憐れんで抱き上げると、体重が次第に重くなり、手放そうとしてもしがみついて離れず、遂には命を奪ってしまうとされている。書籍によっては、子泣き爺は石のように重くなることで抱き上げた人間を押し潰すなどと記述されている。しかし柳田はこうした特徴について、おばりよんや産女に近いものとして、創作と指摘している。
『民間伝承の会』(現・日本民俗学会)の機関誌『民間伝承』第4巻第2号に寄せられた論文『山村語彙』には三好郡三名村字平(現・三好市)の口承として『子供の泣声を真似る怪』と記述されているのみである。
    (中略)
 これらの説に基くと、民俗学的観点から見れば子泣き爺という妖怪が存在することは疑問ということになるが、昭和・平成以降では多くの書籍で妖怪として紹介されていることなどから、子泣き爺が一般的に妖怪として認められていることも事実だと、妖怪研究家・京極夏彦は述べている。特に漫画『ゲゲゲの鬼太郎』で主人公・鬼太郎をサポートする名脇役として描かれて以降は、正義の妖怪として一躍有名な存在となっている。(後略)」

「民俗学的観点から見れば子泣き爺という妖怪が存在することは疑問」など、やたら真面目に、そしてアカデミックに論じているところが妙におもしろい。

 さて、上記は民俗学的に論じた記述だが、同じウィキペディアにはゲゲゲの鬼太郎をベースにした「子泣き爺」について「子泣き爺(こなきじじい)は水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』(旧題:『墓場の鬼太郎』)の主人公・鬼太郎の仲間の妖怪のひとり。子なき爺または子泣きじじい、児啼爺などと表記されている場合もある」としたうえで、以下の記述を掲載している。

「公式設定では阿波国(徳島県)出身とされる。腹掛けをし、赤ちゃんのような顔に爺のヒゲをはやした妖怪。年齢はアニメ第3作によると3100歳。人や妖怪に抱きつくと石になり段々体重が増加していき、その重さで身動きをとれなくさせる。実際の伝承ではこの技で人を殺してしまう恐ろしい妖怪だが、本作の中では鬼太郎の良き保護者的な善の妖怪として活躍。
『砂かけ婆と結婚している』という記述も見られるが、原作ではそれを明記した箇所は見当たらない(女性妖怪と戦う時にやきもちを焼かれるなど、只ならぬ仲を匂わせる場面は原作・アニメ共に多い)。むしろ砂かけ婆とは腐れ縁の関係といえる。アニメ第2作では、真偽は不明ながら別れた妻がいることをほのめかす台詞がある。『妖怪千物語』では砂かけにベタ惚れ」

 酒名および蔵名「千代むすび」の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「『千代むすび』とは、『永久に変わることのない人と人の固い結び、絆』を意味します。夫婦、親子、兄弟、知人との愛情、友情の深さを象徴し、お祝いの言葉でもあります。『お客様』を初め、『千代むすび』に携わる全ての人々の『幸福の創造』が経営理念です」