【4955】龍力 純米吟醸 ドラゴン黒 episodo2(たつりき)【兵庫県】

2022年11月13日
酒蛙酒蛙
兵庫県姫路市 本田商店
兵庫県姫路市 本田商店

【S蕎麦屋にて 全5回の③】

 S蕎麦屋は、かけそばが絶品なうえ、蕎麦屋にしては置いている酒の種類が多い。蕎麦好き&酒好きのわたくしとしては、こたえられないシチュエーション。「新しいお酒が入りましたよ。いらっしゃい」と連絡が来たので、すみやかに暖簾をくぐった。

「黒龍」「赤武」と飲み進め、次にいただいたのは「龍力 純米吟醸 ドラゴン黒 episodo2」だった。「龍力」は飲む機会が多い酒で、これまで当連載で10種類を取り上げている。ただ、今回のお酒は当連載【1479】で取り上げている。しかし、それから8年半が経過しているので、再度取り上げることにした。

 まずは冷酒で。含み香は、やや木香かコルク香をおもわせるものをほのかに感じる。やわらかだが、すっきりとした口当たりで、きれいな酒質。甘みは出ているが、旨みはややすくなく、ドライ感がある。辛みがじわじわと出て来る印象。やや遅れて酸が出てくる。この酸が次第に前に出てくる。余韻は酸と辛み。総体的な味の要素は、酸と辛みとドライ感。

 次に燗酒を湯温45℃でお願いする。

 酒蛙「あれ? 45℃より高いでしょ? 50℃くらいだよ」
 店主「分かります? ちょっと温度が上がっちゃいました。48℃でした」
 酒蛙「良い良い、48℃でも」

 さて、その燗酒。辛みが立ち、キレが非常に良い。これが第一印象だった。45℃より温度が下がってきたら、酸が強く出てきた。苦みも良い。けっこう力強い味わいになってくる。燗冷ましの温度帯になると、酸がさらに良くなる。飲み飽きしないで、いくらでもゆるゆると飲めそうなお酒だった。

 蔵のホームページはこの酒を「味のある辛口のお酒で、魚料理によく合います」と紹介している。

 瓶のラベルのスペック表示は「精米歩合 60%、アルコール分16度、原材料名 米(国産)米こうじ(国産米)、兵庫錦100%使用、製造年月2022.07」。

 独立行政法人「農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所」のイネ品種・特性データベース検索システムによると、「兵庫錦」は兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センターが1994年、母「母『山田錦』と父『西海134号』の子」と父「山田錦」を交配。選抜と育成を繰り返し、品種を固定。命名は2008年で、種苗法登録年は2011年。

 この蔵は近年、「ドラゴンシリーズ」に力を入れている。蔵のホームページは、ドラゴンシリーズのコンセプトについて、以下のように説明している。

「『今までのお酒とちょっと違う』 ドラゴンの新しい試み」「龍力の追求するものは『山田錦』であり『王道』。全ての造りが技術的には確立し、美味しいのは当たり前。王道の追求のなかで、伝統を大事にしながら、『どう美味しいのか』の具現化を試みました。それが、このドラゴンシリーズです」

 酒名「龍力」の由来について、コトバンクは、以下のように説明している。「酒名は、真言宗の始祖・龍樹菩薩と、地名の龍野にちなみ命名」